サイレージ用トウモロコシの一代雑種新親自殖系統「Na71」

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要約

サイレージ用トウモロコシの一代雑種親自殖系統「Na71」(エヌエイナナジュウイチ)は中生の晩のデント種で、組合せ能力に優れる。

  • キーワード:トウモロコシ、親自殖系統、組合せ能力、飼料作物育種
  • 担当:畜産草地研・飼料作物育種研究チーム
  • 代表連絡先:電話0287-37-7551
  • 区分:畜産草地
  • 分類:研究・普及

背景・ねらい

温暖地および暖地でのトウモロコシF1品種は、多収性とごま葉枯病抵抗性の強化が求められている。そこで、フリント種親自殖系統と高い組合せ能力を発揮し、かつごま葉枯病抵抗性を兼ね備えたデント種親自殖系統を育成する。

成果の内容・特徴

  • 「Na71」はデント種自殖系統間の交配組合せ「Na7×Na23」を母材とし、病害抵抗性、耐倒伏性、雌穂特性などについての選抜と自殖により育成した自殖系統である。
  • 早晩性は「中生の晩」に属する(表1)。
  • ごま葉枯病抵抗性は「強」、すす紋病抵抗性は「強」、紋枯病抵抗性は「中」、黒穂病抵抗性は「強」である(表2)。
  • 採種量は並みで、本系統を種子親として用いる一代雑種は雌雄畦比3:1で、30kg/a程度の採種量が見込める。花粉の飛散程度は「やや良」である(表1)。
  • 稈長は「やや長」、着雌穂高は「やや高」、稈径は「中」、草型は「セミアップライト型」である(表1)。雌穂は「円筒型」で、粒列数は平均14.1列、粒は「中~くさび型」である。
  • 本系統を片親とする単交雑F1組合せの平均乾物収量は、同熟期の普及品種に近い水準にあり、組合せ能力は高い(表3)。本系統を種子親に用いて育成された単交雑F1系統「長交C980号」は、普及品種「KD777」よりやや早い熟期で、「KD777」と比較して乾物収量が高く、耐倒伏性およびごま葉枯病抵抗性は十分な水準にある(表4)。

成果の活用面・留意点

  • サイレージ用トウモロコシF1品種の親系統として利用できる。
  • 本系統は着雌穂高がやや高めなので、耐倒伏性の点からF1系統の着雌穂高が高くなりすぎないよう、組合せ相手を選定する場合はその系統の着雌穂高も参考にすることが望ましい。

具体的データ

表1 「 Na71 」の一般特性と採種性

表2 「 Na71 」の病害抵抗性

表3 「 Na71 」のフリント種との一般組合せ能力

表4 「 Na71 」を種子親とする単交雑F1系統「長交 C980 号」の特性

その他

  • 研究課題名:粗飼料自給率向上のための高TDN収量のとうもろこし、牧草等の品種育成
  • 中課題整理番号:212c.1
  • 予算区分:基盤、委託プロ(えさ)
  • 研究期間:1987~1996、2008~2009年度、
  • 研究担当者:佐藤尚、井上康昭、門馬榮秀、濃沼圭一、加藤章夫、村木正則、伊東栄作、黄川田智洋