飼料用トウモロコシ畑における雑草防除意思決定支援システム
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要約
飼料用トウモロコシ畑において雑草防除を適切に行うための、主要外来雑草6種の同定、生態特性・防除法を閲覧でき、イチビ、ショクヨウガヤツリ、オオブタクサの3種については、茎葉処理剤施用の経済性評価ができる雑草防除意思決定支援システムである。
- キーワード:飼料用トウモロコシ、生産コスト、外来雑草、意思決定支援システム
- 担当:畜産草地研・飼料作生産性向上研究チーム
- 代表連絡先:電話0287-37-7802
- 区分:畜産草地、共通基盤・雑草
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
飼料用トウモロコシ畑では、外来雑草を中心とした多種多様な難防除雑草が大きな問題を引き起こしている。これまで様々な防除法が開発されてきたが、実際の現場では、必ずしも発生種に対応した防除方法が選択されていない例が見られる。また、飼料作物は直接の換金作物でないため、防除方法の経済性を認識するのが難しく、経済性を無視した完全防除を目指している場合もある。さらに、飼料畑間でトウモロコシの生育のばらつきが大きく、雑草防除効果が実感しづらい点も生産者が適切な雑草防除の判断を困難にしている。こうした状況に対応するため、飼料用トウモロコシ畑における主要な外来雑草について、経済性を考慮した雑草防除意思決定支援システムを試作した。
成果の内容・特徴
- マクロ機能を有効にすることで、市販のMicrosoft Excel2003および2007で動作し、種の同定、生態特性・防除法の閲覧、土壌処理剤散布後の茎葉処理剤散布の経済性評価の機能を持った雑草防除意思決定支援システムである(図1)。
- 主要外来雑草6種(アレチウリ、イチビ、オオブタクサ、ショクヨウガヤツリ、ヨウシュチョウセンアサガオ、ワルナスビ)について、写真で同定でき、写真をクリックするだけでその生態特性と推奨防除方法を参照することができる(図2)。甚大な収量減をもたらす草種や有毒雑草については、侵入初期での徹底防除が必要なため、特に注意を促すマークがついている。
- イチビ、ショクヨウガヤツリ、オオブタクサの3種については、茎葉処理剤を用いた場合の経済性評価として、TDN1tあたりの生産コスト削減の確率が事例データに基づいて計算される機能がついている。グラフと数値の表示により、使用者が茎葉処理するかどうかを容易に判断できる(図3)。
- 事例データの蓄積は、トウモロコシ播種1ヶ月後の雑草発生本数の選択と収穫直前のトウモロコシ10本の草丈と稈径を入力してユーザーが事例としてデータを蓄積していくことにより、使用者の圃場や地域の実態に合った評価が可能となる。
成果の活用面・留意点
- 特に問題が大きい6種について雑草防除の意思決定を支援できるシステムであり、生産者あるいは普及指導員が活用できる。担当者に連絡すれば本体と取扱説明書のファイルを入手できる。
- 茎葉処理剤施用の経済性評価の機能を使うためには、最初に圃場での事例をデータとして蓄積する必要がある。
- OSはWindows Xp で動作が確認されているが、他のOSでの動作確認は行っていない。
具体的データ



その他
- 研究課題名:飼料生産性向上のための基盤技術の確立と土地資源活用技術の開発
- 中課題整理番号:212e.1
- 予算区分:基盤
- 研究期間:1998~2008年度
- 研究担当者:佐藤節郎、黒川俊二、吉村義則、森田聡一郎、菅野勉