アルファルファにおけるアルファルファタコゾウムシの薬剤防除

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要約

MEP乳剤とDEP乳剤でアルファルファにおけるアルファルファタコゾウムシの防除効果を検討したところ、MEP乳剤による防除効果が高く、生息幼虫が3齢主体の時の防除効果が高い。薬剤防除を行わない場合には、アルファルファの乾物重は減少し、再生も悪い。

  • キーワード:アルファルファ、アルファルファタコゾウムシ、MEP乳剤(スミチオン乳剤)
  • 担当:畜産草地研・畜産温暖化研究チーム
  • 代表連絡先:電話0287-37-7557
  • 区分:畜産草地
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

アルファルファタコゾウムシの発生地域においてアルファルファを栽培すると、幼虫により芽や葉を食害され、大きな被害を受ける。現在のところ、わが国においては殺虫剤による防除以外に有効な防除手段がない。マメ科牧草におけるゾウムシ類の殺虫剤にはMEP乳剤(スミチオン乳剤)とDEP乳剤(ディプテレックス乳剤)の登録がある。しかし、アルファルファに発生したアルファルファタコゾウムシの防除試験はほとんど行われていない。そこで、アルファルファタコゾウムシの発生消長を調べるとともに、これらの薬剤の防除効果の差異や防除適期について明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 関東北部(畜産草地研究所那須研究拠点)でのアルファルファにおけるアルファルファタコゾウムシ幼虫の発生ピークは4月中下旬である(図1)。この時期の発生を抑えるための薬剤試験を行った。
  • MEP乳剤(スミチオン乳剤)(1000倍液)の方がDEP乳剤(ディプテレックス乳剤)(500倍液)よりも防除効果が高い(表1)。殺虫効果が高い防除時期は、生息する幼虫が3齢主体の時であり、2齢や1齢の時は効果が劣る(表1)。
  • アルファルファタコゾウムシ発生圃場においてMEP乳剤(スミチオン乳剤)を適期(3齢幼虫主体時)に散布することによりアルファルファの乾物重の減少を抑制でき(表2)、さらに、アルファルファ刈取り後の再生も改善できる(表3)。
  • 以上のことから、アルファルファにおけるアルファルファタコゾウムシの防除には、MEP乳剤(スミチオン乳剤)を幼虫が3齢の時期をねらって散布すると良い。

成果の活用面・留意点

  • アルファルファにおけるアルファルファタコゾウムシの薬剤防除を行う際の参考になる。
  • 規定量を超えて散布した場合には薬害がでることがあるので、薬液量等に注意する。また、薬剤散布後家畜に与えるのを控えるべき期間が、MEP乳剤では14日、DEP乳剤では45日であり、MEP乳剤の方が薬剤散布後のアルファルファを早く利用できる。
  • 薬剤費は1000倍で用いるMEP乳剤が、500倍で使用するDEP乳剤よりも経費がかからない。MEP乳剤は普通物であるが、DEP乳剤は劇物であり、MEP乳剤のほうが取り扱いが容易である。

具体的データ

図1 アルファルファタコゾウムシ発生消長

表1 薬剤散布前と散布後のアルファルファの茎 30 本当たりのアルファルファタコゾウムシ生息虫数

表2  MEP 乳剤(スミチオン乳剤)のアルファルファタコゾウムシ3齢幼虫主体時の散布がアルファルファの生葉重および乾物重へ及ぼす効果

表3  MEP 乳剤(スミチオン乳剤)の散布が再生後のアルファルファの草丈に及ぼす効果

その他

  • 研究課題名:飼料生産性向上のための基盤技術の確立と土地資源活用技術の開発
  • 中課題整理番号:212e.1
  • 予算区分:基盤
  • 研究期間:2007~2009年度
  • 研究担当者:神田健一