醤油粕の乳牛用飼料のための配合水準
要約
粗蛋白質と粗脂肪が豊富に含まれる醤油粕は、乳牛用飼料として10%程度を飼料中に配合できる。
- キーワード:醤油粕、ウシ、飼料利用
- 担当:自給飼料生産・利用・国産発酵TMR
- 代表連絡先:電話 029-838-8611
- 研究所名:畜産草地研究所・家畜飼養技術研究領域
- 分類:研究成果情報
背景・ねらい
醤油の製造過程で排出される醤油粕は、乳牛用飼料として広く利用されている。しかし、醤油粕の乳牛用飼料としての給与水準に関する知見は乏しい。そこで本課題では、ウシを用いた飼養試験から得られた飼料消化率を基準とした醤油粕の配合水準を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 醤油粕は、粗蛋白質(24.6%)および粗脂肪(15.4%)が豊富に含まれる高蛋白質・高エネルギー飼料である(表1)。
- 醤油粕を10%(醤油粕10%区)あるいは20%(醤油粕20%区)配合して飼料設計を行うと、醤油粕20%区では粗脂肪含量が飼料全体で5.1%であり、高脂肪含有飼料となる(表2)。
- 醤油粕10%区の各成分の消化率は、対照区のそれらと差が認められない。一方、醤油粕20%区では、対照区と比較して、粗脂肪を除くすべての成分の消化率が低下する(表3)。
- 醤油粕は、飼料消化率を低下させることなく、10%程度を乳牛用飼料中に配合できる。
成果の活用面・留意点
- 泌乳牛等を用いた醤油粕の給与試験あるいはTMR設計の際の基礎的データとして活用できる。
- 醤油粕の飼料成分は、排出される工場によって異なるため、あらかじめ飼料成分を測定してから用いることが望ましい。本成果は、キッコーマン株式会社の工場から排出された醤油粕を用いて行われた試験の結果である。
具体的データ



(細田謙次、野中和久)
その他
- 中課題名:飼料用米等国産飼料を活用した発酵TMRの安定調製給与技術と広域流通システムの確立
- 中課題番号:120c6
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2009~2010年度
- 研究担当者:細田謙次、宮地慎、松山裕城、野中和久
- 発表論文等:Hosoda K. et al. (2012) Anim. Sci. J. 83(3): 220-226