紫トウモロコシのアントシアニンを含む色素は反芻家畜の酸化防御を向上させる
要約
強い抗酸化活性を示す紫トウモロコシのアントシアニンを含む色素は、給与によって血液の抗酸化酵素および酸化抵抗性を向上させることから、反芻動物向けの機能性飼料として活用できる。
- キーワード:乳牛、紫トウモロコシ、アントシアニン、抗酸化酵素、酸化抵抗性
- 担当:自給飼料生産・利用・高機能飼料
- 代表連絡先:電話 029-838-8611
- 研究所名:畜産草地研究所・家畜飼養技術研究領域
- 分類:研究成果情報
背景・ねらい
泌乳牛は高い酸化ストレスに曝されているため、酸化ストレスを低減させるために抗酸化物質を多く含む飼料の給与が必要であると考えられている。紫トウモロコシが含有する色素のアントシアニンは、強い抗酸化活性を示す。そこで本課題では、紫トウモロコシのアントシアニンを含む色素が反芻家畜の抗酸化防御に与える影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
- アントシアニンを多く含む紫トウモロコシサイレージを泌乳牛に給与すると、通常のトウモロコシサイレージを給与した場合と比べて、血液中の、抗酸化酵素の一つであるスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)活性を上昇させる(図1)。
- 紫トウモロコシから抽出された色素をヒツジに給与した場合、血液の抗酸化能、グルタチオン濃度および酸化ストレスの指標となる8-ヒドロキシーデオキシグアノシン(8-OHdG)尿中排泄量は変化しないものの、SOD活性が上昇する(表1)。
- 紫トウモロコシ色素を給与する試験で得られた血液に活性酸素発生剤を加えて酸化ストレス状態にしても、紫トウモロコシ色素を摂取した個体では脂質の酸化が抑制される(図2)。
- 紫トウモロコシのアントシアニンを含む色素は乳牛およびヒツジの抗酸化防御を向上させる。
成果の活用面・留意点
- 乳牛向けの紫トウモロコシを活用した機能性飼料の給与技術を開発するために役立つ情報となる。
- 本成果の内容は、紫トウモロコシに長交C922を、紫トウモロコシ色素に三栄源エフ・エフ・アイ社製サンレッドNO.5Fを用いて行った結果である。
具体的データ

その他
- 中課題名:国内飼料資源を活用した高機能飼料の調製利用技術の開発
- 中課題番号:120c7
- 予算区分:交付金、委託プロ(健全畜産プロ)
- 研究期間:2005~2012年度
- 研究担当者:細田謙次、額爾敦巴雅爾、芳賀聡、宮地慎、松山裕城、石崎宏、野中和久、塩谷繁
- 発表論文等:
1) Hosoda K. et al. (2012) Livest. Sci. 145(1–3): 266–270
2) Hosoda K. et al. (2012) Anim. Sci. J. 83(6): 453–459