集落排水処理研究支援のための自動制御システム

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要約

集落排水処理研究における室内模型実験で必要となる高度な制御アルゴリズムによる自動制御運転を容易かつ低コストに実施できるシステムを開発した。

  • 担当:農業工学研究所・農村整備部・集落排水システム研究室・水環境保全研究室
  • 代表連絡先:0298-38-7535
  • 部会名:農業工学
  • 専門:農村整備
  • 対象:計画・設計技術
  • 分類:研究

背景

農業集落排水施設での処理に求められる高度な処理への対応と維持管理の容易さを両立させる対応策の1つに処理施設の自動制御がある。これは処理施設自身が処理の状況を判断して,運転方法を変更するものである。しかし,処理の状況は,熟練した管理技術者が流入水量,水温,pH、溶存酸素量(DO),送風量,酸化還元電位((ORP)などの多項目の値を吟味して,ようやく判断できる極めて複雑なものである。
このため,集落排水処理の最適な自動制御手法の研究においては,多数の項目を指標として,種々の高度な制御アルコリズムの適用を検討する必要がある。本研究では,このような集落排水処理の研究を支援する自動制御システムを開発した。

成果の内容・特徴

本研究で開発した自動制御システムの概要は図-1のとおりである。
各種センサーから得られた計測データをパソコンで判断し,実験模型を運転する機器(制御対象の機器)に制御の指令を出す。パソコンから制御指令は電源コントロールボックス(「C-BOX」)と名付け製作した機器が受け,内蔵するリレーやインバーター(周波数変換装置)の働きで各機器の電源のON/OFFやパワ-コントロールする(図-2及び図-3参照)。
本自動制御システムの特徴は次のとおりである。

  • 制御アルゴリズムはパソコン上のソフトウェアで対応できるようになる。
    これによって,測定毎の計測値を判断に用いる単純な制御だけでなく,積算値やトレンドなど計測値を加工した値による制御,さらにはファジィ理論による極めて高度な制御まで容易に対応可能である。
  • C-BOXと制御対象の機器との接続は特別な配線を必要とせず,機器の電源プラグをC-BOXに設けたコンセントに差し込むだけである。
    このため,特に外部制御のための機構を持たない機器も制御可能である。また,制御アルゴリズムの変更に伴う制御対象の機器の変更も極めて容易にできる。

成果の活用面・留意点

本成果は,集落排水処理研究での種々の自動制御の検討を支援する。また,他の目的での実験にも利用可能であるが,秒単位以下での高速の処理への対応は困難である。

具体的データ

図1 自動制御システムの概要
図2 C-BOX No.1~No.4コンセントの仕組み
図3 C-BOX No.5、No.6コンセントの仕組み

その他

  • 研究課題名:集落排水を対象とした低コストリン除去技術の開発-凝集剤添加法等による除去-
  • 予算区分:経常,農業工学研究所特別研究費
  • 研究期間:平成7年度(平成4-9年度)
  • 発表論文等:集落排水処理技術開発のための自動制御システムの構築,農業土木学会誌64巻6号,p.45-48 (1996)