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監査廊打設時からダムの湛水試験に至る10年間、監査廊の挙動観測データを収集した。収集したデータを整理し、監査廊の長期挙動パターンを明らかにした。また、監査廊の長期挙動に影響を与える要因の分析を行った。その結果、監査廊く体の温度変化が監査廊挙動の主要因であることを明らかにした。
フィルダム監査廊は、フィルダムの安全管理を目的として、ダム基礎地盤内に設置されるコンクリート構造物である。監査廊の損傷は、ダムの安全管理業務に深刻な影響を与える。また、監査廊の損傷はダム堤体の損傷を引き起こす危険性を有する。このように監査廊の安全性評価は、ダム本体の安全性評価にとり極めて重要な問題である。
監査廊の安全性を評価するためには、監査廊の挙動(監査廊に生じる応力・ひずみ・変形等)を正確に把握することが必要である。しかしこれまでに、監査廊の長期挙動や監査廊の挙動に影響を与える要因について論じた報告はほとんどない。そこで、本研究では、監査廊打設初期からダムの湛水試験に至る10年間にわたり、監査廊の挙動観測データを収集した。また、監査廊の挙動に影響を与えている要因について分析を行った。これらの結果は、監査廊の安全性評価の基礎資料となる。
本成果は、監査廊の挙動メカニズムを解明するための基礎資料となる。また、監査廊の施工・安全管理業務を行う際の参考資料となる。しかしながら、本成果は、比較的基盤が良好なある特定のフィルダムに設置された監査廊の挙動をまとめたものである。他の条件の異なるダム(例えば軟岩基礎に建設されたフィルダム)の監査廊の挙動は、本成果と必ずしも同様な挙動を示さない場合があることを留意されたい。