大区画水田整備のための均平管理基準の策定手法

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要約

営農段階における均平作業の負担を定量的に表すことができる指標として運土仕事量を提案した。これを指標にすることにより、大区画水田整備時における均平管理基準を策定することが可能となる。

  • 担当:農業工学研究所・農地整備部・水田整備研究室
  • 代表連絡先:0298-38-7554
  • 部会名:農業工学
  • 専門:農地整備
  • 対象:農業工学
  • 分類:行政

背景

大区画水田整備における均平管理は、30a区画水田と同じ管理基準値(高低差7cm)で管理されている。農家は圃場整備後の水田をより均平にするために、営農段階で均平作業を負担している。しかし、区画拡大に伴い、営農段階における均平作業の負担が増加することが懸念されている。
このため、営農段階における均平作業の負担を定量化し、これを用いて30a水田と大区画水田の均平作業の負担を比較検討することにより、営農段階での負担が増大しない範囲内での大区画水田整備時における均平管理基準を策定することができる。

成果の内容・特徴

  • 営農段階における均平作業の負担を表す新たな指標として「運士仕事上」を導入することにより、均平作業の負担を定量的に表した。
    運土仕事量(m3・m)=運土量(m3)×運土距離(m)
  • 切土部(αi)から盛土部(βj)への運土量Xijおよび運土距離Cijを表す運土計画表(表1)は、運土仕事量(=∑∑XijCij)を最小にするヒッチコック型輸送計画として解析する。
  • 運土仕事上を用いて、30a区画水田と60a区画水田における均平作業の負担を検討した。均平作業の負担として、圃場整備直後の高低差から熟田並の高低差4cm(士2cm)を達成するために要する運土仕事上を指標とする。解析した水田はY県で造成された30a区画(30x100m)水田1,002枚、60a区画(60x100m)水田325枚である。
  • 図1,2は横軸に運土仕事量、縦軸に高低差毎に全体を100%とした時の運土仕事量の出現割合をとる。本解析事例における30a区画水田の運土仕事土の上限は1,000m3・m(図1)である。また、図2から、60a区画水田における運土仕事量を単位面積瑞(30a)でみると、1,000m3・mを超える割合の累計が高低差6cmでは約1%、7cmでは約20%である(網掛け部)。したがって、本事例における60a区画水田の均平作業の負担を30a区画水田並みにするためには、水田整備時の高低差による均平管理基準を6cmにする必要がある。

成果の活用面・留意点

大区画水田における運土仕事量のデータを蓄積することにより、水田整備の均平管理基準に反映することができる。

具体的データ

表1 運土計画表
図1 30a区画での運土仕事量の頻度分布
図2 60a区画での運土仕事量の頻度分布

その他

  • 研究課題名:栽培様式の多様化に適合した汎用水管理技術の開発
  • 予算区分:総合的開発研究(次世代稲作)
  • 研究期間:平成7年度(平成7-9年)
  • 発表論文等:大区画水田造成のための均平管理基準、農土論集、(183),P.97-104 (1996)