農村流域の水質環境評価支援システム

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要約

農村地域の流域水質に関連する農業水利システム、農地等の排出負荷、水質改善施設等の負荷削減対策および自然・営農条件のデータベースを構築し、これらの情報をGIS上で統合し、河川または農業用・排水路の水質予測を行うコンピュータシステムを開発した。

  • 担当:農業工学研究所・水工部・水環境保全研究室
  • 代表連絡先:0298-38-7546
  • 部会名:農業工学
  • 専門:用排水
  • 対象:計画・設計技術
  • 分類:行政

背景

農村地域の水質保全のためには、農村が従来から有してきた浄化機能や各種負荷削減対策の実施等を総合的な流域管理全体の中で位置づけて流域レベルで管理することが必要となっており、これら流域管理の効果を適切に評価する手法の開発が求められている。そこで、流域内の流入負荷管理、各種対策の実施前後における水質改善効果の評価等を支援することができる実用的なコンピュータシステムを開発する。

成果の内容・特徴

  • システムは、データベースシステムと水質シミュレーションシステムおよび入出力システムの3つのサブシステムで構成されている。 (図1)
  • データベースシステムは、流域情報、水質改善施設の実施例と効果および発生負荷原単位等の基礎的諸元をシステム上から随時追加、検索および参照可能であるため、流域の水質保全に関する政策シナリオ分析の際にシナリオ立案を支援することができる。(図1)
  • 水質シミュレーションシステムでは、対象流域の国土数値情報(標高、勾配、河川、道路、土地利用等)と社会情報(栽培作目と施肥量、家畜飼養頭数、生活排水の処理形態別人口、工場・事業場排水量及び排水水質等)をGIS上で統合し、流域内の発生負荷量の分布を推定した後、流域内の水と汚濁物質の面的な流れと水質改善施設や農業用・排水路を通過した流れをメッシュタンクモデルとStreeter-Phelpsモデルによってシミュレーションする。(図1)、(図2)
  • 流域内の河川および農業用水路を約100mの分解能で入力できるため、用水の循環利用や反復利用など、細かな水質保全施策をモデルに組み込むことができる。
  • 本システムは、パソコン上で対話形式によって運用が可能なものである。(図3)

成果の活用面・留意点

負荷発生に原単位を用いていることから、本システムで得られた結果は年平均的な負荷の流れの把握と年平均水質の評価として活用できる。

具体的データ

図1 支援システムの運用プロセス
図2 システムの全体構成
図3 システムの運用画面の例

その他

  • 研究課題名:農村地域の水質管理評価支援システムの開発
  • 予算区分:経常・依頼
  • 研究期間:平成10年度(平成8年~10年)
  • 研究担当者:白谷栄作、高橋順二、吉永育夫
  • 発表論文等:白谷ら(1998):流域水質管理のための流域モデル、農土誌66、1205-1210