有限要素法による流れの多層モデル解析における三次元可視化手法

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要約

二次元データの集まりである多層モデルによる流れの解析結果を三次元データ化して可視化する方法を提案した。本法で三次元化されたデータを可視化することにより、多層モデルによる解析結果から流れの三次元性を把握することが容易になる。

  • 担当:農業工学研究所・水工部・水源施設水理研究室 河海工水理研究室
  • 代表連絡先:0298-38-7568
  • 部会名:農業工学
  • 専門:用排水
  • 対象:現象解析技術
  • 分類:普及

背景

多層モデルによる流れの解析は、解析領域を複数の層に分割し、それぞれの層について平面的な解析を行う準三次元解析である。このため、三次元解析と比較してデータの作成および計算が容易であるという特徴を持つ。しかし、多層モデルによる流れの解析において結果として出力されるのは層毎の平面ベクトル図などとなることから、流れの構造を把握するのが難しく、流れの三次元性を容易に捉えることのできる可視化法が求められていた。このため、多層モデルによる流れ解析の結果を三次元データ化して可視化する方法を提案した。

成果の内容・特徴

可視化手法の概要

  • 多層モデルによる流れの解析には二次元要素である三角形要素を使用し、解析結果の出力の際に三次元要素である三角柱要素に変換した(図1)。
  • 多層モデルでは各層の水平方向流速が層の中央で定義されているため、水平方向流速を線形補間することにより三角柱要素の各節点に流速を配置した。
  • 変換のためのプログラムをFORTRANにて作成し、解析プログラムに組み込むことにより三次元データを出力した。また、変換により得られた三次元データは、汎用可視化ソフトであるAVS/Express Vizを用いて可視化を行った。

可視化事例
可視化事例として、パイプラインが接続している頭首工取入れ口(図2)内の流況を可視化した。解析領域は9層に分割し、接続するパイプラインからは設計取水量に相当する流量を流出させた。
本頭首工取入れ口の下流端右岸側(図2、平面図)から見た流速ベクトルの可視化結果を図3に示す。解析結果を三次元表示することにより、取入れ口内に生じている流れをあらゆる角度から確認することが可能となり、平面ベクトル図では困難であった流れの三次元性の把握が容易になった。

成果の活用面・留意点

三次元データの可視化に汎用可視化ソフトを使用することにより、流れのアニメーション表示も可能である。

具体的データ

図1 三次元データ化の概念図
図2 可視化対象とした頭首工取入れ口の概要
図3 可視化結果

その他

  • 研究課題名:頭首工機能評価における有限要素法の適用手法の開発
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成10年度(平成7年~11年)
  • 研究担当者:桐 博英、加藤 敬、中西憲雄、常住直人
  • 発表論文等:桐、常住、中 頭首工取入れ口の三次元的な流れ解析 農工研技報 195 pp.49-58 1997
    桐、中、常住 有限要素法による3次元的な流れ解析の頭能工周辺流への適用 平成8年度農業工学関係成果情報 pp.31-32 1997