インターネットを活用した流域土地資源情報の配信システム

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要約

任意の流域内の土地利用、地形等の土地資源情報を電子メールで配信するシステムを開発した。本システムはインターネットホームページ上に構築されており、簡便な操作で流域内の各種情報を抽出することが可能である。

  • 担当:農業工学研究所・地域資源工学部・土地資源研究室
  • 代表連絡先:0298-38-7671
  • 部会名:農業工学
  • 専門:資源利用
  • 対象:計画・設計技術
  • 分類:普及

背景

国土保全等の農地の多面的機能を評価するには、農地の空間的分布を流域単位で把握することが重要である。近年、国土数値情報、数値地形などの数値地理情報が広く普及し、農業地帯の流域構造の把握や流出モデル構築に必要な土地資源情報を数値地理情報から抽出して利用することが可能になった。しかし、実際に対象流域の土地利用情報や地形情報を抽出するには、地理情報システム等の知識が必要な上、流域界の同定など、データの切り出し作業が煩雑で、多大な労力・時間を要する。そこで、ホームページ上の簡便な操作で、任意の流域内の情報を抽出し、情報提供を行うシステムの開発を行った。

成果の内容・特徴

本システムは以下の処理により、利用者に情報を提供する。

  • 利用者がホームページ上で任意に選択した領域に対し、国土数値情報の流路位置ファイル及び数値地図(50mメッシュ)から擬似河道網を作成する。
  • 選択された領域内で最大の流域面積をもつ地点を下流末端とする流域を抽出するとともに、その流域を適当な規模の支流域に分割し、支流域ごとの土地利用構成、平均勾配、平均標高を算出する。
  • 上記情報と擬似河道網図、支流域境界図を電子メールに添付し利用者に配信する。
    図1にシステムの概念図を示す。

また、本システムの特徴は以下の通りである。

  • 利用者が必要とする領域を任意に設定できるオンディマンド型システムである。
  • 各種地理情報を平面直角座標系に統一しており、既存地図への重ね合わせが容易である。
  • 擬似河道網作成時に多重解像度メッシュによる窪地脱出処理を施しており、流路無限ループ問題で擬似河道網が作成不能になるケースが少ない。(図2)

成果の活用面・留意点

  • 本システムは、農業工学研究所のホームページ上で常時公開している(ホームページのアドレス:http://ws10.nkk.affrc.go.jp/basin)。(図3)
  • 作成される擬似河道網及び流域界の正当性は、使用している国土数値情報の流路位置情報及び数値地形(50mメッシュ)の精度やデータ密度に依存しているため、数平方km以下の小流域や平野部のみまたは都市部のみの解析には適さない。(図4)

具体的データ

図1 流域土地資源情報配信システムの概念
図2 配信される擬似河道網図例
図3 「流域土地資源情報配信サービス」ホームページ
図4 多重解像度メッシュによる窪地脱出法

その他

  • 研究課題名:農業農村整備計画事業支援のためのGISデータベース構築手法の開発
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成11年度(平成9年~11年)
  • 研究担当者:上村健一郎、奥島修二、福本昌人、塩野隆弘
  • 発表論文等:上村健一郎・大里一雄「農業土木技術者のための空間データ解析」、ARIC情報第51号17-22、1998)、第53号24-28、1999、第55号16-21、1999