圃場の大区画化に対応した低コストな整地・均平工法(反転均平工法)

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要約

ゴムクローラトラクタとレーザープラウ、レーザーレベラー等を用いた整地・均平工法である。高生産性水田農業に必要な圃場の大区画化・再編整備を容易に行うことができ、さらには、従来のブルドーザを用いた工法と比較して、作土厚の均一化や均平度の向上、事業費の低コスト化を可能とする。

  • 担当:農業工学研究所・農地整備部・水田整備研究室
  • 代表連絡先:0298-38-7554
  • 部会名:農業工学・総合研究
  • 専門:農地整備
  • 対象:施工技術
  • 分類:普及・行政

背景

わが国の食料自給率を向上させるため、水田は稲作以外に麦、大豆、飼料作物等が低コストでかつ、安定的に栽培できる圃場条件とする必要がある。この実現には、可能な限り圃場を大区画化し、機械作業効率を向上させるとともに、田面均平度の向上と作土厚の均一化によって、発芽・苗立ちの安定、生育ムラの解消、用排水の迅速化、水稲栽培における水管理の適正化等を図ることが重要である。そこで、大区画圃場整備の整地・均平作業が低コストに行え、かつ、均平度や透・排水性に優れた工法を開発した。

成果の内容・特徴

本工法には、「表土扱い無し」(反転均平I)と「表土扱い有り」(II)の2種類がある。基本はレーザープラウを用いて心土を一定の高さで田面に反転させ、土を乾燥させた後にレーザーレベラーで地盤の高い水田から低い水田に土を移動して均平を取るものである (図1)。ここで使用する標準的な機械はゴムクローラトラクタ、バンブレーカー、レーザープラウ、レーザーレベラー、レーザー機器等であり、耕作道や排水路の撤去・造成にはブルドーザやバックホーを用いる。
本工法は従来工法と比較して次のような特徴がある(表1)。
(図2)(図3)

成果の活用面・留意点

  • 反転時に表土と心土が混じる可能性があることから、心土にレキや泥炭土を含む場合には、十分検討のうえ適用を決定する必要がある。
  • 本工法は、計画一筆水田内における現況水田の最大田面標高差が、反転均平工法Iで20cm、反転均平工法IIで50cmが適用可能範囲である。

具体的データ

表1 工法の特徴
図1 反転均平工法II型の施工作業
図2 ブルドーザ工法および反転均平工法施行後の硬度分布
図3 表土と心土の分離度合い調査

その他

  • 研究課題名:輪換畑圃場の傾斜化による表面排水促進効果の定量的な評価手法の開発
  • 予算区分:地域先導技術
  • 研究期間:平成11年度(平10~12年度)
  • 研究担当者:藤森新作
  • 発表論文等:藤森新作、千葉佳彦、佐々木新一、中山豊一:レーザープラウとレベラーを利用した反転均平工法の開発とその効果、平成11年度農土学会講要、pp404-405、1999
                      藤森新作、千葉佳彦、小澤良夫:大区画ほ場整備におけるレーザープラウとレベラーを用いた低コスト整地工法、建設の機械化、600号、pp23-30、2000