井桁基礎による鉄骨補強パイプハウスの低コスト補強方法

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要約

この方法は、鉄骨補強パイプハウスの耐風性を向上させるための低コストな基礎の補強方法である。実験で水平引張りおよび鉛直引抜き耐力を求めた結果、この補強方法は実用化できる。

  • 担当:農業工学研究所・造構部・施設研究室
  • 代表連絡先:0298-38-7572
  • 部会名:農業工学
  • 専門:農業施設
  • 対象:施工技術
  • 分類:普及

背景

鉄骨補強パイプハウスは栽培上およびコスト面の制約から、軽量の骨格で構成されており、強風などの外力に対して脆弱な構造である点は否めない。基礎の補強対策としては、コンクリート基礎のフーチング幅を広げるなど、コンクリート重量を増すことが考えられる。しかしながら、圃場の中に多量のコンクリートを打設する事は、営農管理や資源の有効利用の観点から適当ではなく、経済的にも不利である。そこで低コストな基礎の補強方法を考案した。

成果の内容・特徴

  • 従来のコンクリート二次製品による置き基礎は、水平方向の外力による転倒に弱いため、パイプハウスの使用済みパイプ(直径22.2mm)を利用して、転倒防止用の井桁基礎で補強する。人力施工であることを勘案して、根入幅、根入深さとも0.5mとする。(図1)
  • 井桁基礎の引抜き耐力の最大値は11.8kNを超え、杭状基礎に比べて4~5倍の強度が得られた。これは、パイプの周面摩擦力だけではなく、井桁上面に載っている土全体が抵抗し、埋め戻し部全体の周面摩擦力が有効に働いた結果であり、この方法は実用化できる。(図2)、(図3)
  • 豪雨を伴う台風時を想定し、井桁基礎を埋設した周囲の地盤を湛水し飽和させた状態で、水平引張り試験を行った。
    飽和状態での井桁基礎の水平引張り耐力は、自然含水比状態に比べ役3割小さな値となったが、ハウス基礎の補強の役目は果たす。(図4)

成果の活用面・留意点

降雨によって基礎周辺が湛水する恐れがある場合には、3割程度の強度低下を見込んでおく必要がある。

具体的データ

図1 井桁基礎
図2 鉛直引抜き実験概要図
図3 井桁基礎と杭状基礎の鉛直引抜き荷重-変位関係
図4 飽和状態と自然含水比状態の井桁基礎に関する水平引張り強度

その他

  • 研究課題名:耐風性を考慮した園芸施設設計手法の高度化
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成11年度(平成10年~12年)
  • 研究担当者:藤本直也、森山英樹
  • 発表論文等:(1)豊田・森山・瀬能・前川、園芸用プラスチックハウスの耐風性向上のための簡易基礎工法について(第1報)、農業施設、29(4)、215-223、1999.
                      (2)豊田・森山・瀬能・前川、園芸用プラスチックハウスの耐風性向上のための簡易基礎工法について(第3報)一基礎周辺が水浸状態となる場合の杭基礎耐力―、農業施設、30(1)、61-67、1999.