圃場整備の整地工におけるブルドーザの走行軌跡解析

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要約

自動追尾型トータルステーションによって圃場整備の整地工におけるブルドーザの走行を自動追尾し、高さ情報を含む正確な走行軌跡から、地点毎の作用回数、切盛り深さ等の解析が可能となる。

  • 担当:農業工学研究所・農地整備部・水田整備研究室
  • 代表連絡先:0298-38-7554
  • 部会名:農業工学
  • 専門:農地整備
  • 対象:施工技術
  • 分類:研究

背景

水田圃場整備におけるブルドーザの走行ムラが生育ムラや不同沈下の一因ともいわれているが、ブルドーザの走行実態については必ずしも明かでなかった。そこで、自動追尾型トータルステーションによるデータをもとに、整地工事におけるブルドーザの正確な位置情報を解析し、走行の実態を明らかにする。

成果の内容・特徴

解析の基礎となるブルドーザの走行軌跡は、自動圃場計測システムを用いて記録する。計測システムはトータルステーション、赤外線放射型全方位ターゲットおよび記録用のコンピュータで構成する。トータルステーションはターゲットが発する信号を自動的に連続捕捉し、相対的な位置座標をコンピュータに転送して、測定時刻と共に記録する。

  • 走行軌跡データは、ブルドーザに取り付けたターゲットの取り付け位置とブルドーザの傾きを補正することによって、ブルドーザ履帯の正確な位置に修正する。
  • 2 図1において、A0B0がブルドーザの走行軌跡を表すとき、履帯の範囲はA1A2B2B1、A1'A2'B2'B1'である。そして、圃場全体についてdx,dyを単位とするピクセルに分割し、各ピクセル毎にブルドーザが踏圧する作用面積を算定する。例えば、ピクセル(1,4)の作用面積は0.31、(2,3)は0.61である。
    1)圃場内地点(ピクセル)毎にブルドーザ履帯の走行した面積と時刻から走行履歴が分かる。図2は盛土作業域におけるピクセルへの作用状況を示しており、○印が該当ピクセルへの作用があったことを示している。「十分な転圧作業」では同一時刻での複数回の転圧作業が確認できる(○の重なり)はずであるが、図からはまき出し毎に締固め作業を実施していないと判断できる。
    2)また、基盤整備作業において、ブルドーザ履帯が各ピクセルを通過した作用回数を図3に示す。図3は、全体にムラがあり、特に盛土側(図の左側)で回数が不足していることを示している。

成果の活用面・留意点

自動追尾型トータルステーションを必要とするが、ブルドーザの走行回数の把握によって、適正な施工管理のための基礎データを提供できる。

具体的データ

図1 ブルドーザ履帯の作用範囲
図2 ブルドーザによる盛土作業
図3 A県B地区における圃場全体の作用回数

その他

  • 研究課題名:圃場整備後の土壌の不均一性に土木機械の走行が及ぼす影響の解明
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成12年度(平成9~12年)
  • 研究担当者:長利 洋、小野寺忠夫(岩手県農業研究センター)
  • 発表論文等:1)長利 洋、小野寺忠夫、水田圃場整地工事におけるブルドーザの走行状態、農土論集、204、85-92、1999.
                      2)長利 洋、小野寺忠夫、圃場整備におけるレーザーレベルブルドーザの均平作業、圃場と土壌、34(4)、25-30、2000.