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滋賀県日野川用水地区竜王ブロック(674ha)における、年間を通じた用水と排水のマクロ的な差し引き排出負荷量の結果である単位排出負荷量(kg・ha-1・y-1)は、年間トータルではBODが-1.5である。また、非降雨期間(5mm未満の日降雨量の日数)ではT-Pが±0.0、BODが-19.3であること、T-Nは8.3と他の研究事例に比べてかなり低い量であることがわかる。
水田を主体とした農村地域における水環境を考える場合、農業用水としての質の重要性の他に、排水先となる公共水域への影響も重要な問題となっており、流域的な視点に立った研究が求められている。
このようなことから、滋賀県の日野川用水地区の竜王ブロック(図1、674ha)における年間を通じたマクロ的な負荷量収支結果から、水田を主体とした農村地域全体での水質保全機能について検証した。
本研究におけるマクロ的という意味は、取水口からの流入負荷量が、ほ場や水路等を経由してブロック最下流の排水路から河川に流出する時にはどのように変化したか、というトータル現象を捉えることである。
本研究では、通常の営農活動を行っている水田を主体とした農村地域(約674ha)における、水質保全機能について検証した。その結果、年間トータルでの差し引き排出負荷量はBODが-1.5(kg・ha-1・y-1)となり排出負荷が流入負荷より少なくなり、削減されていること、非降雨期間にはT-Pは流入負荷と排出負荷が均衡していること、BODは-19.3(kg・ha-1・y-1)と大きく削減されていることが検証できた。
なお、今回の結果は一地区の検証事例であり、これが水田を主体とした農村地域における水質保全機能を一般化しているものではない。しかし、マクロ的な差し引き排出負荷量を用いて、農村地域が有する水質保全機能を評価することは有効な方法である。