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汎用非定常流解析プログラムは多様な構造物を含む農業用パイプラインのシステム全体の流況を解析できる。これにより、管路の破壊原因となる水撃圧等動的特性や緩やかな非定常現象の予測を設計段階等で容易かつ的確に行うことができる。
近年、農業用パイプラインは延長が長くなるとともに、分水工、水槽などの多様な構造物から構成されてきている。また、分水弁は比較的軽い力で簡単に開閉できるなど、その操作性が改良されている。他方、コンピュータの進展とともに水撃圧などの非定常流の解析手法も多く提案されてきた。しかし、それらはシステムの一部を取り出して管路の解析手法の提案であった。このため、農業用パイプラインの計画、設計の現場ではシステム全体として水撃圧などの動的特性を解析・予測することはできなかった。そこで、本研究ではパイプライン全体をシステムとして水撃圧等の非定常流を解析・予測できるプログラムの開発を行った。
本プログラムは計画・設計段階ばかりでなく管理段階においても使用可能であり、適切な水管理に対しても大きく貢献できる。今後は、現在含まれていないポンプ特性、圧力タンクの追加など、更に多様な構造物を含むパイプラインの水理解析が可能なプログラムを開発する予定である。なお、本プログラムの使用は農業工学研究所の使用許諾が必要である。
図1 解析可能な各種構造物を含むパイプラインの例
図2 従来の検討手順と新たに開発したプログラムによる検討手順の相違(図1の例)