用水路システムの水利計画設計データベース作成手法

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要約

データベース化を図る調査マニュアル等各種開発した手法による全国30地区の 国営用水路事業地区の水利関連情報の収集・分析により、行政部局の計画技術者に対して、用水路システムの水利計画設計に参考となるデータベース情報が提供できる。

  • 担当:農業工学研究所・水工部・水路工水理研究室
  • 代表連絡先:029-838-7565 Mail Address
  • 区分:技術及び行政
  • 分類:普及成果情報

背景

 国営事業で構築される用水路システムは、複雑かつ大規模な水利構造物である。また、現在の水田を主体とする国営事業地区の約70%は、更新・改修事業(国営2、3期事業)が占めている。今後の事業地区の水利計画や全体実施設計の際には、関連地区の水利情報を自由に取り出せるデータベースの活用が必要である。そこで、行政部局の計画・設計技術者の利用を想定したデータベースのプロトタイプを開発し、水利技術情報の普及を図る。

成果の内容・特徴

国営事業を対象に30地区の事業地区(計画・実施・完了)の関連データを現地調査や資料調査及び委託事業(旧依頼研究)を通して、収集・分析し、データベース化を図った。データベース構造を図1に示す。地区位置図、事業概要、事業地区平面図、及び主要水利施設写真等の各データファイルが検索閲覧できる。その内容を下記に示す。

  • 水路カルテ;用水路システムの管理主体である土地改良区からの聞き取り(問診)調査結果から作成した水管理の現状と水利学的技術課題を表示している。この水路カルテを作成するための調査マニュアル(問診表)を作成した(表1)。
  • 用水需給調整フロー図;農家からの用水申し込み情報の処理から管理者による配水操作に至るまでの一連の流れを模式したフローチャート図であり、現在の地区の水管理方式等が理解できる。
  • 水路システム機能図;現在あるいは、今後事業で構築するシステムの水管理方式、配水管理方式、幹線水路の流量制御方式及び分水制御方式が理解でき、各水路要素の機能が評価できる水路機能模式図を表示する。この模式図に表記する図記号を提案した(図2)。この表記法は、今後、農業工学分野で統一を図り、規格化する必要があると考えられる。
  • データの表示例;水路カルテ、事業地区主要水路施設など写真一覧、水路システム機能図について図3に表示例を示す。

成果の活用面・留意点

農林水産省の調査管理事務所等の水利設計担当者等の利用(CD-ROM)を想定している。今後、データベースのプロトタイプを事業等により実用化する必要がある。

具体的データ

図1 データベース構造
図1 データベース構造

表1 調査(問診)事項一覧(調査マニュアル)
表1 調査(問診)事項一覧(調査マニュアル)

図2 水路機能模式図に利用する水利施設要素の表記法(図記号の提案)
図2 水路機能模式図に利用する水利施設要素の表記法(図記号の提案)

図3 データの表示例
図3 データの表示例

その他

  • 研究課題名:国営事業水路システムの水利計画設計データベースの構築に関する研究
  • 中期計画大課題名:材料、構造、施設機能等の評価診断手法の開発
  • 予算区分:交付金研究
  • 研究期間:1998~2002年度
  • 研究担当者:中 達雄、田中良和、向井章恵、島 武男
  • 発表論文等:中 達雄他、更新・改修のための水路システムの水利機能診断、農土誌、69 (5)、1-6、2001