平地水田地帯における実施者別の草刈り作業の実態

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要約

農家各戸や地域の取り組みとして行われている草刈り作業について、平地水田地帯において航空機による写真撮影、ヒアリング、アンケート調査等によるデータを基に草刈り実施者別の草刈り対象面積、延べ草刈り面積等を定量的に把握したところ、公(役場)及び共(集落)の管理区分と比べて、農家各戸(私)による草刈り面積割合が高い。

  • 担当:農業工学研究所・農村環境部・景域研究室、農村計画部・上席研究官
  • 代表連絡先:029-838-7583 Mail Address
  • 区分:技術及び行政
  • 分類:参考

背景

豊かで美しい農村景観は、水田等の農地、水路、農道など人の手を介して形作られる二次的な自然を基調とし、人手による維持管理の基に成り立っている。農作業と関連して行われる草刈り作業は、農村景観の形成の役割も担っており、農家各戸または地域の取り組みとして、長年に行われているが、その作業実態は明らかでない。そこで,実施者別(公・共・私)の草刈り対象地の分布と対象面積及び延べ草刈り面積を定量的に明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 茨城県真壁郡大和村A地区(耕地面積66.2ha)において、草刈り前後の写真撮影等により付帯施設区分および実施者別の草刈り区分図を作成する(図1、2)。実施者別の草刈り頻度は、ヒアリング及びアンケート調査により確認した。
  • 作業場所に係る付帯施設区分別の面積比率は、水路:37.6%、農道:31.6%、畦畔19.1%等の順で、これらで約9割の面積比率を占めている(図3)。
  • 延べ草刈り面積(草刈り対象面積×草刈り頻度)について見た場合、実施者別の面積比率は公(役場):8.2%、共(集落):16.4%、私(農家)75.4%と農家各戸による草刈り管理の比率が高いことが判明した(表1、図4)。なお、水路・農道は、本来、共的エリアであるが、農地に接する側の法面の草刈りは、農家によって行われ、その割合は56.3%となっている。

成果の活用面・留意点

今回の成果は、農家各戸の負担軽減と農村景観を維持管理するための施策を図る検討材料の一つとなる。なお、この実態調査の結果は、茨城県北西部平地水田であり、他地域では別途調査する必要がある。

具体的データ

図1 草刈り区分図

その他

  • 研究課題名:開水路の維持管理水準の低下が水路周辺域の景観形成機能に及ぼす影響の定量的評価手法の開発
  • 関連する中期計画大課題名:農業・農村及び事業における多面的機能の評価手法の開発
  • 予算区分:交付金プロ(施設管理)
  • 研究期間:2003~2005年度
  • 研究担当者:木村吉寿、上村健一郎、筒井義冨、栗田英治、松森堅治
  • 発表論文等:木村吉寿・上村健一郎・筒井義冨、集落域における草刈管理による景観管理効果、農業土木学会大会講演会講演要旨集、742-743、2003.