バックホーのアームに装着する暗渠溝掘削及び弾丸暗渠形成装置

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要約

重粘土壌や石混じり土壌など、トレンチャー掘削やトラクタ牽引による弾丸暗渠掘削が困難であった地区において、バックホーのアームに装着する暗渠溝掘削装置または弾丸暗渠形成装置を用いれば、容易かつ低コストな施工ができる。

  • 担当:農業工学研究所・農地整備部・水田整備研究室
  • 代表連絡先:029-838-7554 Mail Address
  • 区分:技術及び行政
  • 分類:普及成果情報

背景

水はけの悪い農地の排水を促進するために、暗渠排水が施工されており、暗渠管敷設に伴う掘削ではトレンチャーが一般的に使用されている。しかし、地中に石が多く存在する場合は掘削が困難であり、これをバックホーのバケットで掘削すれば作業効率の低下とコスト上昇が発生する。また、土と共に石も地表面に排出され、表面土と混合してしまうため、耕作に支障を与える。
一方、補助暗渠の施工では、トラクタに装着する弾丸暗渠装置やサブソイラーが用いられているが、畦際の施工は困難である。また、施工済みの弾丸暗渠上をトラクタが走行せざるを得なく、弾丸を潰す恐れがあることや田面が湿潤な状態における牽引走行が困難であるなどの問題を抱えている。
そこで、これらの問題を解決し、低コストかつ容易に施工できる機械を開発する。

成果の内容・特徴

  • アーム式暗渠溝掘削装置
    1) バックホー(0.45m3クラス・標準型)の作業アームに溝形成装置を取り付け、ショベル駆動用のシリンダーを用いて掘削する(図1)。
    2) 溝形成部前端のラッセル部で土を切り開くようにして溝を形成し、土中に含まれる石も左右いずれかに移動させる状態となることから、溝の形成を容易に行えるとともに、土中の石を地表面に排出することがなく、耕作作業に影響を与えることがない(写真1)。
    3) トレンチャーのような複雑な機構を有していないため、保守点検も極めて容易で、作業終了後は、作業機から取り外して簡単な清掃作業を行うだけでよく、作業コストだけでなく、維持管理コストの大幅な削減が図れる。
  • アーム式弾丸暗渠形成装置
    バックホー(0.45m3クラス・標準型)のアームに装着した弾丸暗渠形成装置に疎水材ホッパーを装着しており、弾丸掘削と同時に疎水材が供給される(図2、写真2)。

成果の活用面・留意点

  • 土壌条件が悪くても掘削は可能であるが、暗渠または弾丸暗渠の効果を十分に発現させるためには、土壌の乾燥している時に施工し、亀裂の発生を促進する必要がある。
  • 特許出願中である。

具体的データ

図1 アーム式本暗渠掘削装置の構造
図2 アーム式弾丸暗渠形成装置

その他

  • 研究課題名:水田の有効な利活用を促進するほ場整備技術の開発
  • 関連する中期計画大課題名:農地の整備水準の解明と大区画ほ場等の水分制御技術の開発
  • 予算区分:交付金研究
  • 研究期間:2003~2005年度
  • 研究担当者:藤森新作、谷本 岳、若杉晃介、小野寺恒雄(共同研究・パディ研究所)
  • 発表論文等:1) 藤森新作・小野寺恒雄、特許出願2003-409288、弾丸暗渠形成装置及び方法並びに通水溝形成装置
                      2) 藤森新作・小野寺恒雄、特許出願2004-4420、溝形成装置