XMLを用いた農業用パイプラインの拡張可能なデータベースシステム

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要約

本システムは、XML(eXtensible Markup Language)を活用したデータ構造の変更が自由なデータベースであるため、農業用パイプラインのライフサイクル(計画・設計・施工・管理・更新)に合わせてデータが活用できる。

  • 担当:農業工学研究所・水工部・水路工水理研究室
  • 代表連絡先:029-838-7566 Mail Address
  • 区分:技術及び行政
  • 分類:参考

背景

国営事業による農業水利施設は増加傾向にあり、その主要施設の約7割が土地改良区に管理委託されてきた。近年、維持管理の労力軽減のためにGISを利用した土地改良施設の管理支援システムが普及してきたが、システムの構築には多くの労力と時間を要する。したがって、計画段階からデータを共有し更新させてゆくことが効率的である。
ここでは、XMLをデータベースのデータ構造とデータの表現に利用することによって、農業用パイプラインの計画路線のデータを、土地改良技術調査管理事務所、国営事業所および土地改良区等の技術者が共有し、拡張しながら活用できるデータベースシステムを開発することを目的とする。

成果の内容・特徴

  • XMLファイル形式は、ツリー構造や階層構造のデータ構造を表現できるので、農業用パイプラインのあらゆるデータを記述するのに適している(図1-A)。
  • 農業用パイプラインシステムのデータ構造をXMLで定義し、定義用言語ISML(Irrigation System Markup Language)を整備した(図1-B)。
  • ISMLは、農業用パイプラインのあらゆるデータを、関係者やコンピュータプログラムが理解しやすい知識表現形式であるため、円滑な情報共有が期待できる(図2)。
  • ISMLは、運用後であってもコンピュータプログラムからデータベースのデータ構造を変更できるため、データ属性の拡張が可能である。よって、新たに獲得したデータを利用したシステムを柔軟に構築できる(図2)。
  • GUI(グラフィック・ユーザ・インターフェース)により、農業用パイプラインのデータ入力や更新を容易に行うことができる(図3-A)。
  • GUI画面の部品の全てがISMLに基づいて構成されているため、ISMLが変更される度に、GUI画面が対応して変更される(図3-B)。そのため、データ構造変更後のデータ入力が可能である(図3-C)。
  • 本システムはXMLファイルをラージオブジェクトとして保存するために、データ構造の変更が生じても問題なく情報の検索と更新が可能である(図3-D)。

成果の活用面・留意点

  • XMLファイルの操作や入出力はXMLパーサ(語句解析プログラム)が普及しているので、容易に行うことができる。
  • 研究目的の用途に限り、ISMLのみのコードの無償提供が可能である。

具体的データ

図1 XMLファイル形式の見方とその応用方法
図2 本システムの対象領域における利便性
図3 水路系の遠況推定結果の比較

その他

  • 研究課題名:高圧幹線パイプライン計画における意思決定支援システムの開発
  • 関連する中期計画大課題名:材料、構造、施設機能診断等の評価診断手法の開発
  • 予算区分:交付金研究
  • 研究期間:2001~2003年度
  • 研究担当者:田中良和、中 達雄、向井章恵、樽屋啓之
  • 発表論文等:1) 田中良和、島 武男、Gong Shihong、中 達雄、複合オブジェクトと半構造データによる管水路系水路システムのデータ構造開発、農業土木学会応用水理研究部会講演集、21-26、2000.
                      2) 田中良和、著作権登録、「農業用パイプラインの構造化文書(XML)の定義用言語ISML」、2003.