農村地域におけるサウンドスケープを収集・整理する地理情報システム
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要約
農村地域の良好なサウンドスケープ(景域音)の保全・整備を進めるに当たって、地域環境に賦存する多様な音資源を分類しながら、GIS上に収集・整理するとともに、景観計画にも資することができるデータベースシステムである。
- キーワード:サウンドスケープ、データベース、景観計画、GIS
- 担当:農工研・農村環境部・景域整備研究室
- 連絡先:電話029-838-7614、電子メールyamatoku@affrc.go.jp
- 区分:農村工学
- 分類:研究 普及
背景・ねらい
農村地域には、水や生物、農作業や生活にかかる様々な環境音が存在する。これらの環境音は視覚的な要素と並び良好な景観を築く重要な資源の一つである。しかし、人に認知されにくい要素でもあり、気づかないうちに無くなってしまっているものも多い。
農村地域の良好なサウンドスケープ(景域音)の保全・整備の研究に当たっては、音質評価やサウンドスケープデザインの問題もあるが、先ずは、農村地域にどのような音資源が存在しているのかを収集・整理することが重要であり、本研究では、これらの音資源を地図上に収集、整理するデータベースシステムを作成する。
成果の内容・特徴
- 地図は、国土地理院が試験公開している1/25000の地形図(ウォっちず)、BMPファイル形式の独自の地図画像が使える。(図1)
- 農村工学研究所が開発したGISエンジンを基盤技術とし、改良を加え、音声データファイルが搭載できる機構を開発するとともに、農地基盤地理情報システムとの連動性についても考慮している。
- 本システムでは、音声ファイルを地図上にマッピングするだけではなく、単独のアプリケーション内でファイルを検索することによって、自動的にWAVデータの再生と波形の表示を可能にしたため、環境音を地図の位置を参照しながら聴くことができる。
- 音声ファイルとともに音声収録時の画像ファイルも地図上にリンクさせ、収録時の状況を視覚的に確認することができる。(図2)
- 使用する地図は、標高メッシュの上に2次元の地形図画像をテクスチャマッピングすることで、陰影の付いた3次元地形図として表示することもでき、地形的特性も視覚的にも把握することができる。(図2)
- プロジェクト毎の管理ができることから、テーマ毎や地域毎に音声ファイル付きの地図データが整理できる。
- 地形の起伏や土地利用条件、サウンドスケープの特性を定性的に検討しながら、景観への配慮も含めた都市農村交流等に資する地域環境づくりの計画策定を支援できる。
成果の活用面・留意点
技術的には実用的レベルに達している。音声ファイルの属性データについては、現在は、地点名称、種別と収録日整理だけだが、一般ユーザを対象にモニター試験を行い、セットしておくべき項目の検討を行う必要がある。
当面は研究利用に限定して、デモ用として配布し、稼働実験を行った上で、著作登録を行い販売を検討する。
具体的データ


その他
- 研究中課題名:地域資源を活用した豊かな農村環境の形成・管理技術の開発
- 実施課題名:農村景域音の音質計測・評価手法の開発
- 課題ID:421-d-00-001-00-I-06-9102
- 予算区分:交付金研究
- 研究期間:2006~2008年度
- 研究担当者:山本徳司、栗田英治
- 発表論文等:山本徳司(2006)、水土文化への誘い-水土文化の表し方-農業土木学会誌74(10)、pp.933-938
山本徳司(2006)、農地基盤地理情報システムの開発、農村振興、第684号、pp34~35
※本アプリケーションは(株)イマジックデザインとの共同開発である。