パイプラインの継ぎ手形状が流れに及ぼす影響
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要約
複数の継ぎ手近傍の流れについて、可視化実験と数値解析を行った結果、管内の流体に対して凸型の形状の継ぎ手(溶接継ぎ手)は、凹型の場合(フランジ継ぎ手と押し込み継ぎ手)よりも乱れエネルギーの増加量と圧力低下量が大きい。
- キーワード:パイプライン、継ぎ手形状、粒子画像流速測定法、CIP法
- 担当:農工研・施設資源部・水路工水理研究室
- 連絡先:電話029-838-7565、電子メールyokka@affrc.go.jp
- 区分:農村工学
- 分類:研究 普及
背景・ねらい
管の継ぎ手は管種、メーカー、および施工条件等によって異なるが、継ぎ手の管内壁面の形状変化が流れに及ぼす影響を評価した例は少ない。図1に示す複数の継ぎ手形状(溶接継ぎ手、フランジ継ぎ手、および押し込み継ぎ手)について、流れの可視化実験と数値解析を行い、その影響の違いを確認した。
成果の内容・特徴
- 乱れエネルギーは、押し込み継ぎ手とフランジ継ぎ手を流下した場合はほとんど変化がなかったのに対し、溶接継ぎ手の場合は流下した直後に増大することを、直線矩形管路における流れの可視化実験によって確認した(図2)。
- 移流方程式を高精度に解く計算手法を実装して、円管内の継ぎ手近傍の3次元流体解析に適用した。この手法は有限体積有理関数CIP法と呼ばれ、1次元移流問題を高精度に解くことができた。この1次元解析手法を多段的に組み合わせることにより、3次元解析手法を構築した。
- 円管内の継ぎ手付近の3次元流体解析結果を図3に示す。その特徴は、溶接継ぎ手のように管内の流体に対して凸型形状の継ぎ手の場合と、押し込み継ぎ手やフランジ継ぎ手のような凹型形状の継ぎ手の場合とで異なった。溶接継ぎ手では、凸型形状のために流線が壁面近傍から剥離し、圧力は継ぎ手の直下流の壁面付近で急激に減少した。他方、押し込み継ぎ手やフランジ継ぎ手では、凹型形状部分の流体の剥離はほとんど見られず、圧力は継ぎ手の断面全域において振幅は小さいが急峻に減少してから増加した。
- 管内の流体に対して凸型の形状の継ぎ手付近は、凹型の形状よりも乱れエネルギーの増加と圧力低下が大きいことを、実験と数値解析によって確認した。
成果の活用面・留意点
- 実験では、4.0×1.0cmの矩形管路を用いて2次元2成分の粒子画像流速測定法(PIV)による継ぎ手付近の流速を計測した。レイノルズ数は70,000とした。
- 数値解析では、無次元化した非圧縮性ナビエ・ストークス方程式を解いた。流速の境界条件は、壁面において滑り無し、流入流出において周期境界の条件を付した。レイノルズ数は10,000とした。
具体的データ



その他