都市と農村をむすぶワークショップ・プログラム

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要約

このワークショップ・プログラムを用いると、農村住民に危機意識が芽生え、よそ者(都市住民)の視点の必要性を理解し、都市住民との間に農村資源に関する情報や認識の共有化を行い、異なる地域の住民が連携するきっかけをつくることができる。

  • キーワード:ワークショップ、農村資源、都市住民、認識共有化
  • 担当:農工研・農村計画部・地域計画研究室、技術移転センター
  • 連絡先:電話029-838-7548、電子メールfukuyo@affrc.go.jp
  • 区分:農村工学
  • 分類:技術及び行政 普及

背景・ねらい

都市住民と農村住民が協力して農村資源を保全管理していく方式への期待が高まっている。ところが両者には様々なミスマッチがある。たとえば都市住民(援農ボランティア)は収穫作業を希望するのに対して、農家は草刈を行ってもらいたいと思っている。また、都市住民は農業水路にドジョウなどが棲息することを重視するが、農家は管理しやすい水路を望む。したがって多様な主体による資源管理を推進していくためには、農村資源に対する情報と認識の共有化を行い、ミスマッチを解消していく必要がある。そこで都市住民と農村住民の双方が理解し合うための方法として以下のワークショップ・プログラムを提案する。これらのプログラムは高知県仁淀川水系(いの町、土佐市)を対象に実際に地域づくりの支援を行いながら開発した。まず、農村住民の意識醸成からはじめ、都市住民との情報・認識の共有化、地域間の連携へとステップアップする構成とした。

成果の内容・特徴

  • Step1 知ってるつもりプログラム
    住民自身が世帯数・人口など地域に関するデータを調査し、コーホート要因法を応用して地域の将来を予測する。具体的な数字で自分たちの地域の将来像が明らかになることによって住民に危機意識が芽生える。
  • Step2 擬似都市住民プログラム
    環境点検や構想づくりワークショップの際に、オブザーバー参加の自治体職員等に都市住民(よそ者)の役割を演じてもらう。農村住民は抵抗なく、よそ者の視点の必要性を理解することができる。
  • Step3 サポーター化プログラム
    イベント参加のリピーターに、地域住民が作成した点検マップや構想マップを見せて意見等を収集する。リピーターの意見を地域づくりに反映できる上に、リピーターの地域づくりへの参加意識が醸成され、サポーターに進化するきっかっけをつくる。
  • Step4 廃校リニューアルプログラム
    学校区や都市在住の卒業生に参加を呼びかけ、廃校のリニューアルについて話し合う。異なる地域の住民が一堂に会し、一つのテーマについて話し合うことによって地域間連携の契機をつくることができる。なお当該地域に廃校がない場合は、地域間の交流が可能な施設(結節機関)の利活用に関するワークショップ(結節機関活用プログラム)を実施すればよい。

成果の活用面・留意点

  • 都市と農村の広域連携プロジェクトや農地・水・環境保全向上対策の活動計画づくりに用いることができる。
  • 既に農村住民に危機意識が醸成されている場合にはStep1を省略するなど、Step1~4を全て行う必要はない。
  • 地域づくり支援手法として既に確立している環境点検や構想づくりワークショップをベースにしている。本成果のプログラムを用いる場合は、まず環境点検や構想づくりワークショップの手法を習得しておく必要がある。

具体的データ

Step1 知ってるつもりプログラム

Step2 擬似都市住民プログラム

Step3 サポーター化プログラム

Step4 廃校リニューアルプログラム

その他

  • 研究中課題名:農村地域の活力向上のための地域マネジメント手法の開発
  • 実施課題名:都市と農村の対流を促進するための環境認識共同体形成手法の開発
  • 課題ID:413-a-00-003-00-I-06-7301
  • 予算区分:交付金プロ(ソフト機能)
  • 研究期間:2004~2006年度
  • 研究担当者:福与徳文、遠藤和子、筒井義冨
  • 発表論文等:
    1)福与・筒井(2005)「都市住民と農村住民のミスマッチと解消方法」むらづくりテクダス26-017-01
    2)福与・筒井(2007)「ワークショップでむすぶ都市と農村-多様な主体による農村資源管理をめざして-」農業

       および園芸82(3)、pp.349-354