リサイクルポーラスコンクリートの強度、微量成分溶出及び植生制御機能の解明

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要約

コンクリート廃材を利用したポーラスコンクリート(POC)の配合方法、強度予測手法、POCからの微量溶出成分の定量化、植生制御能力の検証、現場における品質管理方法の検討を行った結果、POCは低コストのリサイクル材料として現場適用可能であることを確認した。

  • キーワード:ポーラスコンクリート、圧縮強度、配合、植生、締固め
  • 担当:農工研・施設資源部・構造研究室
  • 連絡先:電話029-838-7571、電子メールkohgo@affrc.go.jp
  • 区分:農村工学
  • 分類:技術及び行政 普及

背景・ねらい

1960年以前に建設された農業用コンクリート施設は,今後10~20年で耐用年数を迎え,改修・更新が必要となる.改修・更新時に発生する建設廃棄物をリサイクルすることは,省資源化及び環境保全を進める上で極めて重要である。本研究では、コンクリート廃材を利用したポーラスコンクリートの配合・施工方法を開発し、ポーラスコンクリートを水路、農道などの農業施設に再利用する技術を開発する。

成果の内容・特徴

  • POCの圧縮強度を配合時に予測できる予測式を提案した。予測値と強度試験値の相対誤差はほぼ±10%以内であった。予測式を用いることにより、構造物の強度に合わせた配合を簡易行うことができる(図1)。
  • POCの応力ひずみ曲線と空隙率の関係を求めた.その結果、応力歪み曲線は供試体の空隙率が増すほどピーク強度以降の軟化挙動が緩やかであることが分かった(図2)。
  • POCから溶出する微量成分を求める溶出試験を行った。その結果、高炉セメントを使用し、初期養生を十分行えば、有害物質の溶出は無いことを確認した。
  • 空隙率、覆土厚、POC厚を変化させた12区画の植生試験区を造成し、POCによる植生制御が可能であるか実験を行った。その結果、覆土厚を制御することにより植生を制御可能であることが明らかになった。(写真1)
  • ポーラスコンクリートのワーカビリティを判定する現場試験として、(1)ペーストの相対フロー試験,(2)使い捨て型枠及びこて型バイブレータを用いた締固め及び沈下量測定試験,(3)供試体の底部閉塞試験を開発した。これらの試験は,特殊な試験装置が不要であり,現場で簡易に試験を行うことが可能である。(図3)

成果の活用面・留意点

  • 本研究で対象としたコンクリート廃材の粒径は5-20mmである。この粒径を超える骨材を用いた場合には注意が必要である。

具体的データ

図1 POC の圧縮強度予測式

図2 応力ひずみ曲線写真1 植生制御試験

図3 POC の品質管理試験

その他

  • 研究中課題名:農業水利施設の機能診断・維持管理及び更新技術の開発
  • 実施課題名:コンクリート廃材処理及び環境調和型利用技術の開発
  • 課題ID:412-a-00-009-00-I-06-4901
  • 予算区分:委託プロ(バイオリサクル)
  • 研究期間:2002~2006年度
  • 研究担当者:浅野勇、向後雄二、林田洋一
  • 発表論文等:浅野、向後、林田(2006)、ポーラスコンクリートの圧縮強度推定式について、
                       農業土木学会論文集246号,pp.1-6