成分調整家畜ふん堆肥製造用添加資材の選定のための成分特性一覧

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要約

日本標準飼料成分表等の文献情報、推定式による計算等により、約130種類のバイオマスについて、肥料成分、塩分、分解特性、窒素無機化特性、含水率等を整理した一覧表である。

  • 担当:農工研・農村総合研究部・資源循環システム研究チーム
  • 連絡先:電話029-838-7508、電子メールnaka0310@affrc.go.jp
  • 区分:農村工学
  • 分類:技術及び行政 参考

背景・ねらい

堆肥(コンポスト)の利用を促進するために、複数の資材を組み合わせることにより作物の養分要求に対応した高付加価値の堆肥(成分調整堆肥)を製造する試みが各地で行われ、化学肥料を低減する効果があることが示されているが、現在用いられている成分調整用添加資材は菜種油粕など数種類に限られている。そこで、成分調整資材として利用可能な添加資材を探索するために、各種バイオマスに関して肥料成分、分解特性等の情報を整理し、成分調整資材としての適用性の検討を行った。

成果の内容・特徴

  • バイオマスのデータの収集源は日本標準飼料成分表等の文献情報と著者らが行った成分分析、推定式による計算の結果である。
  • 約130種類のバイオマスについて、成分調整資材としての特徴を示す項目の整理を行った。整理した項目は、C、N、P、K、Mg、Ca、Na、ADF、C/N比、発熱量である。その一部を表1に示す。ここで、ADF(酸性デタージェント繊維)は飼料の消化特性を表す指標であるが、有機性資材のADFと資材を圃場に施用して1年後の炭素分解率との間には高い負の相関関係(相関係数R=-0.918)があり、式(1)で表される。

    (施用1年後の炭素分解率)=-1.02×(有機資材中のADF比率)+94 ・・・式(1)
  • 上記約130種類のバイオマスをワラ類・ヌカ類、作物副産茎葉類、野草類、木質類、落ち葉類、植物油粕類、食品製造粕類、茶かすに分類し、それぞれについて、肥料三要素、塩分、分解特性、C/N比(窒素無機化特性)、含水率を表2に取りまとめた。C/N比は有機態窒素の無機化特性の指標であり、C/N比が大きな資材を施用すると、作物が利用できる土壌中の無機態窒素が減少(窒素の有機化)し、C/N比が20以下の場合には無機化が進むといわれている。これらの情報は成分調整家畜ふん堆肥用の添加資材を選定する際の判断材料として利用できる。肥料成分の調整資材として用いる場合、窒素放出型の資材、分解しやすい資材、肥料成分を含んでいることが望ましい。この見地からすると、ヌカ類、植物油粕類、茶かす、作物副産茎葉類、食品産業製造粕類が成分調整資材として利用可能であると考えられる。肥料成分の含有率から、ヌカ類は窒素、リン酸、カリの全ての成分、植物油粕類、茶かす、食品産業製造粕類は窒素成分、作物副産茎葉類は窒素、カリ成分を調整できると判断できる。

成果の活用面・留意点

今回は成分調整資材として利用を目的として整理を行ったが、整理した資材の情報は堆肥製造のための水分調整資材として利用する場合など、別の用途にも利用できる。

具体的データ

表1 各種バイオマスの成分

表2 各種バイオマスの分類

その他

  • 研究中課題名:有機性資源の循環的利用のためのシステム整備技術の開発
  • 実施課題名:メタン発酵消化液施用に伴う環境負荷の軽減要因の解明
  • 課題ID:411-f-00-003-00-I-06-3301
  • 予算区分:交付金研究、委託プロ(バイオリサイクル)、その他(受託)
  • 研究期間:2003~2005年度
  • 研究担当者:中村真人、柚山義人、森淳、山岡賢
  • 発表論文等:
    中村真人、柚山義人(2006),成分調整コンポスト製造のための各種バイオマスの分類と適用性の検討,農土論集74(6),pp.73-82
    中村真人、森淳、柚山義人(2006),コマツナに施用した農業集落排水汚泥モミガラコンポストの肥効特性と施用後の窒素の動態,農土論集74(6) ,pp.161-167