農業地域資源の地域共同管理に影響する要因とその影響度
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
農業水利施設のような地域資源の共同管理水準は、地域活性化や住民間の人的ネットワークのような共通要因により高められ、その効果は、都市・平地農村より中山間地域の方が高い。
- キーワード:人的ネットワーク、地域活性化水準、地域資源の共同管理、農業水利施設
- 担当:農工研・農村計画部・事業評価研究室
- 連絡先:電話029-838-7667
- 区分:農村工学
- 分類:技術及び行政・参考
背景・ねらい
農村地域では、過疎化・高齢化の進展に伴う地域コミュニティの機能低下によって、地域の共有資源である農業水利施設や農道の維持管理活動が、十分に行われなくなる懸念がある。
本研究では、S県の市町村を対象に、どのような要因が農村地域資源保全に対して有効であるかを共分散構造分析を適用して解明するとともに、各要因の影響
度を定量化して、農地・水・環境保全向上対策のような支援施策の効果を定量的に評価するためのプロト・タイプ・モデルを提案する。
成果の内容・特徴
- 影響要因の解明のため、県内全市町村のアンケート調査データ及び農業センサス等の統計データをもとに共分散構造分析を適用し、農業水利施設や農道のような農村地域資源の共同管理水準に影響する要因をモデル化する(図1)。
- モデルの矢印が示唆するように、農業地域資源の共同管理(その中でも特に、農業水利施設の共同管理)に対しては、地域活性化
水準がプラスに影響する。その背後には、お祭り・イベント参加や計画への住民参加のような私的レベルの住民活動を支える人的ネットワークのような共通要因
が抽出できる(図1)。
- 人的ネットワークのような共通要因が農業地域資源の共同管理に及ぼす影響を総合的に計測すると(表1)、
市町村全体では、前者が1ポイント(お祭り・イベント参加の5点満点中の平均得点で1点に相当)高い市町村では、共同管理が0.36ポイント高くなる(水
利施設の共同管理集落数割合の県内順位12位上昇に相当)。この値は、中山間地域の市町村のみの分析ではさらに高くなることから、条件不利地域では、人的
ネットワークのような共通要因が、他の地域以上に重要な役割を担っている。
成果の活用面・留意点
- 本手法は、行政部局において農地・水・環境保全向上対策の評価に適用可能と考えられるが、2005年度時点のアンケート調査データに依拠するのでデータの更新が必要である。
具体的データ


その他
- 研究課題名:農村地域の活力向上のための地域マネジメント手法の開発
- 実施課題名:住民満足度指標による都市・農村交流等支援施策の評価手法の開発
- 課題ID:413-a-00-004-00-I-06-7401
- 予算区分:交付金研究
- 研究期間:2006~2008年度
- 研究担当者:國光洋二、蘭 嘉宣、合崎英男
- 発表論文等:
1)國光洋二(2007)地域活性化を通じた農村振興施策の効果に関する分析-共分散構造分析による接近-、農村計画学会誌25(4):533-543
2)Kunimitsu,Y.(2007)Effects of Social Capital on Participatory
Management for Irrigation Facilities: SEM Approach、Proceedings of ICID
2007:995-1006