水土里情報の個別情報端末利用に対応した3次元GIS(VIMS)

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要約

施設・農地の管理、環境計画等において、土地改良区、市町村・県等の職員が誰でもすぐに使えるクライアント&サーバ型の高速3次元農地基盤地理情報システムである。水土里情報の個別端末として必要な機能だけを搭載し、低コストでの利用が可能となる。

  • キーワード:3次元GIS、水土里情報、クライアント&サーバ、SQL-Server
  • 担当:農工研・農村環境部・景域整備研究室
  • 代表連絡先:電話029-838-7614
  • 区分:農村工学
  • 分類:技術及び行政・普及

背景・ねらい

農林水産省においては、平成18年度~22年度にかけて、「水土里情報利活用促進事業」が推進され、農地、水路、道路等の農地基盤情報の整備が進んでいる。 農村現場においては、集落営農、耕作放棄地対策等、土地利用のあり方を住民参加で合意しながら計画を策定していく過程が増加している。また、景観法や自然再生推進法の制定に伴い、景観農業振興地域整備計画や田園環境整備マスタープランの策定等の景観や環境にかかる土地利用計画も課題となりつつあり、GISの利用現場は拡大している。しかし、実際の現場では、費用、操作性、持続的管理等の問題が障壁となる上、住民参加型の計画策定において使いやすい3次元GISはほとんど存在せず、GISの導入は進んでいない。
そこで、住民参加型の計画策定等で機能を発揮し、誰でもが直ぐに使いやすいクライアント&サーバ型(C&S型)の3次元の農地基盤地理情報システム(VIMS:Village Information Management System)を開発する。

成果の内容・特徴

  • 統計・最適化処理のツールに加え、住民参加型の計画策定等で機能を発揮する3次元表示能力(高速化と移動性能)を高めたオリジナルのGISエンジンを開発し、データベースとの連携の自由度も高めている。
  • 水土里情報の個別情報端末において、土地改良区、土地改良事業団体連合会、市町村・県等の職員がGISの十分な知識がなくても、地図上に属性データを簡単に整理・表示でき、目的の土地、施設、景観・生物情報等を検索できるユーザーフレンドリーなインターフェースとなっている。
  • 小・中規模組織に最適なクライアント&サーバシステムとして設計されており、分散サーバ環境を構築することによって、様々な組織での利用形態に応用できる。
  • 農業農村整備事業の推進に不可欠で基本的な機能として、①高速3次元化により、ベクタ系にも高さを与えることができる(図1)、②1つの地物に対して複数の属性を設定できるマルチリンクテーブル機構を搭載し、誰でもが簡単にテーブルを作成できる(図2、3)、③ラスタ型データの配置機能を有し、画像、設計図面などを地図上に貼り付けることもできる(図4 )等の機能を実装している。
  • プロジェクト単位でデータを管理したり、幾つかの部所にまたがった共通利用のデータを設定したりできるので、セキュリティ管理が簡単にでき、管理者コストを含めた総保有コスト(TOC)が低減でき、初期システム導入のみで全機能が利用できる。

成果の活用面・留意点

  • 株式会社イマジックデザインとの共同研究成果であり、特に、水土里情報整備に対応した利用を前提に基本的なテーブルが作成されている。
  • 現場の状況に合わせて、様々なクライアント&サーバのシステム形態が構築でき、スタンドアローンでの利用も可能。すでに市販が開始され、すぐにでも入手できる。

具体的データ

図1 3次元表示が可能

図2 地物に対するマルチリンクテーブル

図3 地物の色分け機能(土地利用の例)

図4 ラスタの配置機能

※本システムは、農林水産省「官民連携新技術研究開発事業」の課題「住民参加型農村計画策定支援システム」のコア技術を活用して開発された成果です。
※Microsoft, Windows, SQL Serverは米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における商標または登録商標です。

その他

  • 研究中課題名:地域資源を活用した豊かな農村環境の形成・管理技術の開発
  • 実施課題名:多様なニーズに応じた交流フットパス評価手法の開発
  • 実施課題ID:421-d-00-002-00-I-08-9203
  • 予算区分:交付金研究
  • 研究期間:2006~2008年度
  • 研究担当者:山本徳司、栗田英治、重岡徹
  • 発表論文等:1)山本徳司 (2008)ARIC情報、90:50-60
                       2)山本徳司 (2008)「農地基盤地理情報システム」著作プログラム登録:機構Q-05