農村地域の資源保全評価のための集落資源保全データベース

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要約

全国および地域の自然的・社会的な環境資源に関する数値情報の収集・整備により構築されたGIS用のデータベースである。農業集落や流域を領域単位として解析でき、地域で行われる資源保全活動やその支援策を検討する上で必要な資源評価に活用できる。

  • キーワード:GIS、数値地図、農村集落、数値情報、主題図
  • 担当:農工研・農村環境部・環境評価研究室
  • 代表連絡先:電話029-838-7683
  • 区分:農村工学
  • 分類:技術及び行政・参考

背景・ねらい

休耕や耕作放棄に代表されるように、地域によっては農地や農村の管理状態が粗放化され、それに伴って農村の環境が急激に悪化している。農村地域の振興や環境保全のためには、地域にある資源を活かして継続的に適切な管理を行うことが必要である。その実現のためには、資源の賦存量を精度良く把握するとともに、その機能の適切な評価に基づき、地域において導入すべき施策の検討が必要とされる。そこで、農村地域の振興や環境保全に関わる自然的・社会的な環境資源情報を収集・整備するとともに、資源保全活動の効果の評価および資源評価に活用できる集落資源保全データベースの開発を目的とする。

成果の内容・特徴

  • 本データベースは、広域を対象とする全国データと小地域を対象とする地域データで構成される(図1)。農業集落など比較的狭い範囲を解析の主な領域単位と想定し、中~大縮尺での利用において便利な平面直角座標系を用いる。データのフォーマットは、shape(ESRI社)、ESRI GRID(ESRI社)、Tiff(Adobe社)等の形式を用いている。
  • 領域単位として行政界、町丁字界、農業集落界、流域界(単位流域(国土数値情報)、細流域(農工研環境評価研))、標準地域メッシュの境界情報を利用できる。
  • 全国データは、国土数値情報等の公表されている情報をArcGIS(ESRI社)で利用できるようにフォーマット変換した1次加工データ群、それらを100m×100mのグリッドセルの情報に変換した2次加工データ群、さらに空間解析等の結果図である3次加工データ群からなる1/50,000~1/25,000の中縮尺の数値情報である。1次および2次加工データ群は、ほぼ全国のデータが揃っている。
  • 地域データは、農工研環境評価研究室が調査・研究の対象とする地域について1/2,500都市計画図を基図として空中写真判読や調査・観測により作成した大縮尺の数値情報である。土地利用や水路等の凡例区分には、水・栄養塩の移動の解析等での利用を想定した独自の分類区分を採用している。
  • 本データベースの利用により、農業集落界を領域単位として土地利用や水路等の各種情報の集計(図2)や2次加工データによる空間解析(図1)、小流域を単位とする評価や予測(図3)ができる。

成果の活用面・留意点

  • 国、自治体等の行政担当者、研究者やコンサルタント等の民間業者、NPO等が、各種の領域単位での集計による広域および地域の現状把握や空間解析などに利用できる。
  • 地域データおよび3次加工データは、調査・研究のため一部地域についてのみ作成されている。今後、地域の拡大とともに主題図の種類数の拡大を予定している。また、調査・研究地区の観測データ等については公表可能になったものから順次公開する。
  • 本データベースの利用にあたって、農村工学研究所に著作権のない空中写真画像や全国データの1次加工データ等は、利用者において著作者の使用許諾の取得を必要とする場合がある。

具体的データ

図1 集落資源保全データベースのイメージおよびデータファイル群

図2 データベースの利用例(広域)

図3 データベースの利用例(小地域)

その他

  • 研究中課題名:地域資源を活用した豊かな農村環境の形成・管理技術の開発
  • 実施課題名:農村地域の資源保全評価のための集落資源保全データベースの開発
  • 実施課題ID:421-d-00-003-00-I-08-9301
  • 予算区分:交付金プロ(資源保全)
  • 研究期間:2006~2008年度
  • 研究担当者:松森堅治、廣瀬裕一、嶺田拓也
  • 発表論文等:1)松森、石田(2007)農工研技報、206:187-194
                        2)飯山ら(2007)土壌の物理性、107:17-26