生きもの調査情報を容易に登録・管理できる支援システム(IS-ABDIS)

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要約

農村において、農家・地域住民が参加する「生きもの調査」で得られたデータの登録支援システム(IS-ABDIS)は、点や線、面など多様な調査・観察場所に対応した様々な形状の入力機能を備える。蓄積された登録データは容易に整理、管理できる。

  • キーワード:地域生物資源、様々な形状の入力、情報登録・管理、GIS、オープンソース
  • 担当:農工研・農村環境部・環境評価研究室
  • 代表連絡先:電話029-838-7684
  • 区分:農村工学
  • 分類:技術及び行政・参考

背景・ねらい

近年、各地で農家を含めた住民参加型の「生きもの調査」活動が盛んに行われている。農業農村の有する地域生物資源への認識を向上させるためには、実際に農地管理を行っている農家が主体となった調査活動を支援できるように、安価かつ簡易な調査データの入力システムが必要である。また、「農地・水・環境保全向上対策」などによって行われている「生きもの調査」では、調査・観察場所の設定が地点単位だけでなく、水路区間や水田一筆単位など多様であることが特徴である。
そこで、オープンソースのソフトウエアを利用して、安価で様々な形状の入力や調査データの蓄積が可能となるような登録支援システムを開発する。

成果の内容・特徴

  • Investigation Support for Agri-Biodiversity Information System(以下IS-ABDIS)は、「生きもの調査」活動において、得られたデータの登録、蓄積、閲覧、出力が容易なGISソフトウエアである(図1)。そのため、地域生物資源情報の管理・活用に利用でき、現在、農家主体で「生きもの調査活動」を実施している福岡県みやこ町O地区で稼働中である。
  • IS-ABDISでは、「生きものを観察した場所」と、「観察した生きもの」の情報のどちらからでも入力できる(図2)。そのため、観察対象となる場所や生きものを限定した場合など、多様な調査形態に即した登録が可能である。
  • IS-ABDISでは、点に加え、線、面を選択して情報を登録できる。そのため、水路(線登録)や水田(面登録)など多様な調査・観察場所の形状に対応した入力が可能である(図3)。
  • 登録された生きもの情報は、自動的にデータベースに格納され、観察場所ごとや生きものの分類単位ごとの表示が可能で、外部出力(シェイプファイル等)もできる。そのため、調査・観察されたデータの整理、管理が容易である。
  • 同じ調査・観察場所に対して、経年で複数の生きもの情報を登録することができる。そのため、農家等による継続した地域生物資源の情報管理が容易である。

成果の活用面・留意点

  • IS-ABDISは、「生きもの調査」活動の成果を視覚化するため、地域生物資源への理解を深め、「農地・水・環境保全向上対策」等で農家・地域住民が参加する「生きもの調査」に取り組む集落に対して、調査活動の効率化につなげられる。
  • IS-ABDISは、特定の開発ベンダーに依存しないオープンソースのGISエンジンを利用しているため、システムの改良や提供を自由に行うことができる。
  • 背景となる地形図画像はウェブ上から安価に入手できる。空中写真画像の利用に際しては、別途の購入が必要となる場合もある。

具体的データ

図1 生きもの調査活動におけるIS-ABDISの利用

図2 IS-ABDISの画面構成

図3 調査・観察場所の多様な入力が可能

その他

  • 研究中課題名:地域資源を活用した豊かな農村環境の形成・管理技術の開発
  • 実施課題名:農村地域における環境資源に関わる情報構築・管理手法の開発
  • 実施課題ID:421-d-00-003-00-I-08-9303
  • 予算区分:交付金研究
  • 研究期間:2006~2008年度
  • 研究担当者:嶺田拓也、廣瀬裕一、松森堅治
  • 発表論文等:1)嶺田(2008)棚田学会誌、9:3-11
                       2)嶺田(2007)農業農村工学会誌、75(8):745-750
                       3)嶺田 (2006) 農林水産技術ジャーナル、29(5) :21-25