高齢化率日本一・南牧村の振興支援活動における導入期支援
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要約
高齢化率日本一の南牧村を対象に研究者が外部支援者として振興支援を展開した結果によると、導入期支援は、ワークショップを活かして住民等の関心を高め、自発的な活動展開を促し、関係機関を巻き込んだ継続的な関わりを展開していくことが重要である。
- キーワード:外部支援者、ワークショップ、自発的な活動展開、南牧村、高齢化
- 担当:農工研・農村計画部・地域計画研究室
- 代表連絡先:電話029-838-7607
- 区分:農村工学
- 分類:技術及び行政・参考
背景・ねらい
高齢化が著しい地域では内部の力だけで地域振興を図ることが困難になっている。集落支援員制度が始まったことにより当該地域に対する支援者は増えているが、ノウハウが未確立のため試行錯誤の活動が多くなっている。とりわけ、支援活動を軌道に乗せるまでの導入期に資するノウハウの確立が急務の課題となっている。 そこで、高齢化率日本一である群馬県南牧村を対象に研究者等が外部支援者となって行った支援活動の記録を分析することにより、導入期における活動のポイントを整理する。
成果の内容・特徴
- 振興支援の内容を振興段階別に整理すると、①自主・自立の活動を展開できるようになるまでの段階、②多様な主体との連携関係を築きながら活動を展開させていく段階に分けることができる。南牧村のケースは①の段階に相当し、地元住民の気づきや住民等の力づけを促す支援が重要となる(表1)。
- 南牧村を対象とする支援活動は外部支援者の働きかけに対し住民が反応しないなど試行錯誤の側面も見られるが、南牧村の活性化をテーマとするワークショップ、滝マップづくりワークショップなどいくつかのワークショップを経験することにより住民の関心や主体性が育まれることとなり、その中から若者達のグループ「明日の南牧を考える会」の結成など自発的な取組が起っている(表2、図1)。
- 支援活動における試行錯誤の側面からは、高齢化が著しい地域においても住民は主体性を失っておらず、地域にある問題点を外部支援者がチェックし解決策を与えようとする支援方法は地域に受け入れられないという留意点を導くことができる(表2)。
- 住民の主体性は、滝マップづくりなどの自発的な活動を通して育まれており、外部支援者による積極的な働きかけとともに自発的取組を見守る姿勢が必要となる(表2)。
- H地区を対象とする支援活動においては、当該地区にあとつぎが不在であるため自発的活動展開が見られないが、住民組織が設立されたことを契機に、外部支援者が交流を通じ働きかけを継続するとともに、技術移転を受けた村や住民組織が核となり地区内の人材やノウハウの欠如を補う支援を構想することが可能となっている(表2)。
- ワークショップは、商工会青年部など「村を何とかしたい」と思う様々な主体をつなげ、様々な立場から村の活性化について話し合う「場」を設けた点において有効であり、外部支援者が開催をサポートすることにより、高齢化が著しい地域においても実施することができる(図1)。
成果の活用面・留意点
- 内部の力だけで地域振興を図ることが困難になっている地域で支援活動を行う際に参考となる。外部支援者は、NPOや大学、研究機関など現地の状況を客観的に把握できる主体が想定される。
- 設立された住民組織については、自立的な活動を尊重するとともに、交流を通じた適度な働きかけを継続させることにより、活動を支援していくことが必要となる。
具体的データ



その他
- 研究中課題名:農村地域の活力向上のための地域マネジメント手法の開発
- 実施課題名:群馬県南牧村における振興支援の社会実験
- 実施課題ID:413-a-00-003-00-I-09-7314
- 予算区分:交付金プロ(地域管理)
- 研究期間:2007~2009年度
- 研究担当者:遠藤和子、唐崎卓也、安中誠司、石田憲治