RExcelを利用したコンジョイント分析用マクロ・プログラム

要約

コンジョイント分析用のプロファイル集合作成と回答結果分析を行うマクロ・プログラムである。このマクロ・プログラムによって、地域住民等の関係者の計画条件に対する重要度を定量的・統計的に把握することができる。

  • キーワード:コンジョイント分析、プロファイル、回答結果、Excel、データ解析環境R
  • 担当:農工研・農村計画部・事業評価研究室
  • 代表連絡先:電話029-838-7667
  • 区分:農村工学
  • 分類:研究・参考

背景・ねらい

コンジョイント分析は、財・サービスを構成する要素に対する人々の重要度を定量的に把握できる統計手法の1つであり、農村計画分野でも各種計画条件に対する地域住民等の関係者の重要度を測定する手法として注目されている。
コンジョイント分析を活用するためには、1)直交表に基づいて計画条件を組み合わせて仮想の計画案を複数作成する作業、2)複数の計画案の評価結果を統計分析して人々が重視する計画条件を明らかにする作業、という2つの統計処理が必要になる。これらの統計処理の存在が、コンジョイント分析の農村計画分野での活用を阻害する一因となっている。本マクロ・プログラムは、一般に普及しているMicrosoft Excelをユーザー・インターフェースとして、これらの統計処理を自動的に行うものである。

成果の内容・特徴

  • マクロ・プログラムはExcel VBAで記述されており、利用するためにはWindows版 Microsoft Excel(2003~2010)、データ解析環境R、Rの追加パッケージであるDoE.base、RとExcelをリンクするExcelアドインのRExcelが必要となる(表1)。
  • プロファイル集合作成マクロ・プログラムを実行すると、作成したいプロファイル集合の条件や属性名、水準名などを入力するダイアログ・ボックスが現れる(図1)。これらの情報をすべて入力すると、その情報(条件)に対応した直交表がR上で探索され、得られた直交表に基づいて作成されたプロファイル集合がExcelのシート上に出力される(図2の青枠内)。
  • プロファイル集合を利用して回答者からデータ(各プロファイルの評価結果)を得たら、その回答結果をExcelシートに入力する(図2の赤枠内)。そして、回答結果分析マクロ・プログラムを実行すると、R上で最小二乗法による回答結果の分析が行われ、その分析結果と各属性の重要度がExcelのシート上に出力される(図2の緑枠内)。
  • 市販のコンジョイント分析用アプリケーションと基本機能はほぼ同等といえるが、複数回答者への対応や分析結果のグラフ表示機能の追加など、改善の余地が残されている。

成果の活用面・留意点

  • 各種計画案の策定過程において、地域住民等の関係者の計画条件に対する重要度を定量的・統計的に把握することができ、農村計画策定支援手法の開発において活用できる。
  • 本マクロ・プログラムは自由に利用することができるが、完全に無保証であり、利用者自身の責任で利用する必要がある。
  • マクロ・プログラムのコードは「発表論文等」に示す文献に掲載されており、バージョンアップ版は農工研Webサイトを通じて提供する計画である。

具体的データ

マクロ・プログラムの動作条件各種ダイアログ・ボックス

 

 

図2.マクロ・プログラムの実行結果

 

その他

  • 研究中課題名:農村地域の活力向上のための地域マネジメント手法の開発
  • 実施課題名:選択実験による実用的な農業・農村計画評価マニュアルの開発
  • 実施課題ID:413-a-00-004-00-I-10-7414
  • 予算区分:交付金研究
  • 研究期間:2009~2010年度
  • 研究担当者:合崎英男、國光洋二、鬼丸竜治
  • 発表論文等:
    1) 合崎(2010)ESTRELA、201: 52-57
    2) 合崎(2011)ESTRELA、202: 46-51