LEDによるレタス、シュンギクの夜間補光での生体重増加効果

要約

葉菜類の生体重増大を図る場合、赤色光LEDでの生育促進効果が大きく、また徒長などの形態的な影響が少ない。レタス、シュンギク、いずれの品目も夜間補光による増収効果が認められる。

  • キーワード:LED、夜間補光、レタス、シュンギク、クロロゲン酸
  • 担当:日本型施設園芸・低コスト設計・制御
  • 代表連絡先:電話 029-838-7655
  • 研究所名:農村工学研究所・農地基盤工学研究領域
  • 分類:研究成果情報

背景・ねらい

施設園芸において、安定かつ効率的な作物生産のためには、光強度や光質ならびに光周期を、それぞれ季節や日射の変動に応じて作物の要求に適したものに調整する必要がある。北欧や北米の高緯度地帯で園芸作物の周年生産を確保するには人工光源による補光が不可欠となっているが、高圧ナトリウムランプを補光用光源として使用することが多い。しかし、このような照明は、電気エネルギーを大量に消費する一方、熱放射量が多く、作物体への近接照明に向かない。そこで、生体重増加や高品質化をねらって、レタス、シュンギクを対象に、従来の光源よりも電気エネルギーから光エネルギーへの変換効率が高く、冷却負荷も小さくなると期待される発光ダイオード(LED)を用いた補光の効果の基礎的知見を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • レタス、シュンギクを夜間補光(明期10時間、暗期夜間補光50μmol m-2 s-1、14時間)した場合、青色や緑色でも補光しない場合に比べれば生体重が増加するが、赤色光の生育促進効果が大きく、また徒長などの形態的な影響が少ない。(表1)。
  • 赤色LED(300μmol m-2 s-1)の夜間補光(17時~7時)では、レタスの場合、補光しない場合に対して、日射量が高い5~6、7~8、9月は3~5割の生体重増加、10~11、12月は3~4倍、生体重が増加する(図1(1))。シュンギクの場合、夏期以外の作期で4~6倍、生体重が増加する。また、10~11月や12月は、日射量の減少に伴って無補光での生育速度が低下する一方、夜間補光では高い生育速度を示し、春から夏作の補光しない場合と同程度の生体重となる(図1(2))。
  • 抗酸化機能が期待されているポリフェノールの一種であるクロロゲン酸については、レタスの場合、12月は、補光なしで15mg 100gFW-1の含有量が300μmol m-2 s-1の補光で28 mg 100gFW-1に上昇する(図2)。

成果の活用面・留意点

  • 安定的な商業生産の実現に向けては、補光時間や光強度の調整、昼間の遮光、植物体への送風、品種の選定など、今後さらに検討していく必要がある。

具体的データ

図1~2,表1

その他