窒素追肥が大豆の蛋白含量及び粒大に及ぼす影響

要約

  • 担当:東北農業試験場・地域基盤研究部・生理生態研究室
  • 部会名:総合農業
  • 分科会名:畑作物
  • 分類:(2)

成果の内容

  • 技術・情報の内容及び特徴
    窒素追肥が大豆の蛋白含量及び100粒重に及ぼす影響を施用時期・量別に明らかにした。
    窒素追肥による蛋白含量の増加程度は、窒素追肥の時期・量並びに燐酸施用量が異なる条件下でも4%(含量では2%)以下に留まる。一方、100粒重の増加は、開花期以降の窒素追肥で認められ、子実肥大始期に多量の追肥をした場合には、7~8%増加する。さらに燐酸施用量を組み合わせると100粒重は約13%増加する(表1)。また、開花期以降の窒素追肥によって大粒種のトヨスズ、フクナガハ、ユウヅル、スズカリでも100粒重が増加する(図1)。
    以上の結果から、窒素追肥が蛋白含量に及ぼす影響は小さく、窒素追肥によって増収効果が認められる範囲内においては、追肥が蛋白含量を高める可能性は小さいことが明らかになった。一方、大粒種、極小粒種等粒大が品質の要件となる銘柄品種では、各々について窒素追肥の要否を判断する必要がある。
  • 技術・情報の適用効果
    大豆の粒大には、用途別に厳密な規格があり、粒大の変動は品質を低下させることになる。本情報は、開花期以降の窒素追肥によって100粒重が増加することを示しており、品質の整った大豆を生産するための有効情報となる。
  • 適用の範囲
    火山灰土壌の転換畑及び普通畑
  • 普及指導上の留意点
    地力窒素の供給が登熟後期まで期待できる場合には、粒大向上に対する窒素追肥の効果は現れ難い。

具体的データ

表1.時期別窒素追肥が大豆の蛋白含量、100粒重及び収量に及ぼす影響

 

 

図1.100粒重及び収量に対する窒素追肥効果

 

その他の特記事項

  • 研究課題名:窒素施用法による大豆蛋白含量の向上と大粒化技術の確立
  • 予算区分:別枠(水田畑作)
  • 研究期間:昭和62年~平成元年
  • 発表論文等:平成3年度日本作物学会で発表予定