潜在的農業生産力評価のための細密メッシュデータベースの作成
要約
- 担当:東北農業試験場
- 部会名:総合農業
- 分科会名:生産環境
- 分類:(2)
成果の内容
- 技術・情報の内容及び特徴
地域の持つ潜在的農業生産力の特徴を面的に精度よく把握するための土地条件に関する細密メッシュデータベースを効率的に作成する手法を開発した。具体的には
- 評価の基本単位を約100m×100mメッシュを採用したことにより地形が複雑な地域でも精度が落ちず、データ容量も比較的小さいのでパソコンで扱える。
- 潜在生産力を評価するのに不可欠な要因でありながら局地性が大きいため面的に捕らえにくかった「土壌の透水性」など6項目の土壌条件について基本土壌図及び代表断面データより、メッシュデータを作成する手法を開発した。
- 地形図等高線のトレース図よりコンピュータとスキャナを使って平均標高、斜面方位、傾斜角、月平均日射量を計算する手法を開発した。
- 土壌図、表層地質図など図式データを数値化し、容易にパソコン用メッシュデータベースを作成する手法を開発した。
- データベース上の各要素データを重みづけオーバーレイし、結果を精度よくカラー地図の形で表示する手法を開発した(図1)。
- 技術・情報の適用効果
作成された細密メッシュデータベースを使って、紫波町のブドウの中で最も一般的に栽培されている品種であるキャンベルの栽培適地図を作成した。すなわち、栽培適性に大きく関与する要因として年平均気温、4~10月の降水量、土壌の透水性、傾斜、8~9月の月平均日射量を選び、各メッシュごと値を求め、評点して合計点によって4ランクの総合評価を行ない結果を地図の形で出力した。このようにして作成されたブドウ栽培適地図は実際の産地の分布とよく一致しており、メッシュデータベースで妥当性が確認された。
本技術によって作成されたデータベースは農用地の合理的土地利用を推進するため都道府県、市町村、農協等で広汎に利用されることが期待される。
- 適用の範囲
パソコンで操作することを前提としているため対象面積は20,000ha以下が適当である。
- 普及指導上の留意点
このデータベースを利用して、作物別の栽培適地図や栽培指針図を作するためには、作物生育適性指標のようなものがあると便利である。
具体的データ

その他の特記事項
- 研究課題名:
細密メッシュデータによる潜在的農業生産力評価システムの開発(経常)
潜在的農業生産力の評価のための土壌条件細密メッシュマップの作成
(科学技術庁振興調整費)
- 予算区分:経常、科学技術庁振興調整費
- 研究期間:昭和63年~平成元年
- 発表論文等:東北地理学会春季大会(1990.5)