イネ黒条萎縮ウイルス遺伝子のcDNAライブラリーの作成

要約

  • 担当:東北農業試験場・地域基盤研究部・病害生態研究室
  • 部会名:総合農業
  • 分科会名:生産環境
  • 分類:(3)

成果の内容

  • 技術・情報の内容及び特徴
    トウモロコシすじ萎縮病の病原であるイネ黒条萎縮ウイルスの遺伝子(10セグメントの2本鎖RNA)の相補DNA(cDNA)を逆転写酵素を用いて作成し、プラスミドpBR322に挿入した。これを。E.coli(HB101)に導入し、各セグメントに対応するクローンを選抜した。
    その結果、約800個のクローンを得た。挿入されたcDNAの大きさは塩基対にして数百から最大で約3850であった。セグメント4~10についてはほぼ完全な大きさに近いcDNAが挿入されたと推定されるクローンが得られた。各セグメントに対応するクローンからcDNAサイズの大きいものを選抜し、cDNAライブラリーを作成した。
    表1.得られたクローン数及びそのcDNAの最大長
    図1.各セグメントに対応するcDNAのアガロースゲル電気泳動パターン
  • 技術・情報の適用効果
    cDNAライブラリーの作成により、トウモロコシすじ萎縮病とその保毒虫(ヒメトビウンカ)の遺伝子診断法の開発、ウイルス構成タンパク質の機能解明、及びウイルス抵抗性の形質転換植物の作出等に不可欠なcDNAの供給が可能となった。
  • 適用の範囲
    ウイルスの遺伝子解明に関係する試験研究機関。
  • 普及指導上の留意点
    組換えDNA実験指針に従って実施する必要がある。

具体的データ

表1. 得られたクローン数及びそのcDNAの最大長

 

図1. 各セグメントに対応するcDNAのアガロースゲル電気泳動パターン

 

その他の特記事項

  • 研究課題名:東北地域におけるイネ黒条萎縮ウイルスの伝染環の解明
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:昭和63年~平成4年
  • 発表論文等:平成元年度日本植物病理学会大会(1989.6)