漏水防止用左右揺動式床締め代かき機

要約

  • 担当:東北農業試験場・生産工学部・生産機械研
  • 部会名:総合農業
  • 分科会名:作業技術
  • 分類:(3)

成果の内容

  • 技術・情報の内容及び特徴
    水田の汎用化や田畑の交互利用を円滑に行なう場合、火山灰土壌等透水性大な圃場における復元田の漏水防止が重要な問題となっている。
    本情報は水田に切り替えた場合の減水深を適正(20~30mm/日)にするための漏水防止用の床締め機を開発したものである。
    本機はトラクタマウント式、全長1390mm、全幅2970mm、全高1350mm、全重600kg、床締め部揺動振り幅74mmで、トラクタのPTO軸からの回転運動を作業機のフライホイルを介して左右の往復運動に変換し、前後2列の床締め部が機体重により同時に耕盤層に押し付けながら左右逆方向に揺動することにより漏水を防止するものである。なお作業能率は10a当り、2回掛けで30~40分である。
  • 技術・情報の適用効果
    本機の床締め作業による適用効果は火山灰土壌水田において、2回掛けで、21~29mm/日の減水深を示している(表1)。漏水過多の圃場を適正減水深にするためには、慣行の代かき作業では数工程(4~5回掛け)を必要とするのに対し、本機を使用すれば2回掛け程度で適正減水深を得ることができ(表2)、かつ砕土、整地が同時に可能となる。
  • 適用の範囲
    火山灰土壌等透水性の大きな水田
  • 普及指導上の留意点
    供試トラクタは、本機の所要動力が最大で11ps程度で少ないが、重量が600kgであり、機体バランス等の関係上60ps前後の4輪駆動トラクタが望ましい。作業は耕うん、湛水後、作業速度0.3~0.4m/secの範囲で本機により代かき2回掛けを行なう必要がある。

具体的データ

写真-1.漏水防止用の床締め機

 

表1.左右揺動式床締め機の漏水抑制効果

 

表2.左右揺動式床締め機と慣行代かきとの比較

 

その他の特記事項

  • 研究課題名:火山灰土汎用水田に於ける耕盤管理技術の確立 -左右揺動式床締め機の開発-
  • 予算区分:水田畑作
  • 研究期間:昭和62年~平成元年
  • 発表論文等:「漏水防止用左右揺動式床締め代かき機の開発」農機学会東北支部研究発表会講演要旨1990-8