シロクローバ茎頂の低温及び超低温保存技術
要約
- 担当:東北農業試験場・草地部・牧草育種研究室
- 部会名:畜産
- 分類:(3)
成果の内容
- 技術・情報の内容及び特徴
- 低温保存:
茎頂組織は低温(4度C)下で、約1年間は安定して保存することが可能である(表1)が、それ以上の期間の保存では生存率が低下するため、新鮮な培地の添加ないし交換が必要であると考えられた。
- 超低温保存:
液体窒素(-196度C)による凍結処理法により、茎頂組織の高い生存率が得られたが、この方法は次のようである(図1)。茎頂組織を5%DMSO(ジメチルスルフォキシド)及び5%グルコースを加えた培地で2日間、4度Cで前培養して、10%DMSO及び10%グルコースを含む凍結媒液中で、0.3度C/分の冷却速度で、-40度Cまで予備凍結し、液体窒素に入れ保存した。その後、40度Cの温水で急速に融解後、洗浄せずに寒天培地上の濾紙に直接組織を置床した。この方法によると、品種の耐寒性に関係なくどの品種においても80%以上の高い生存率が得られた(表2)。一方、茎頂組織を液体窒素中で10ヶ月間保存したが、生存率の低下はなかった。
- 技術・情報の適用効果
シロクローバは他殖性植物で遺伝的にヘテロなため、優良な遺伝子型を栄養体で保存する必要があり、これまで栄養体を圃場及びポットで保存してきたが、モザイク病などの感染により、有用な遺伝子型の消失がしばしばみられた。今回開発した保存法は、遺伝資源として栄養体をウイルスフリーの状態で中・長期間安定して保存することを可能にすると考えられる。低温保存は、中期的な保存に、超低温保存は長期的な遺伝資源の保存に利用される。
- 適用の範囲
栄養体で遺伝資源を保存する育種研究機関。
- 普及指導上の留意点
操作全般にわたって、雑菌の混入に注意を払う必要がある。
具体的データ


その他の特記事項
- 研究課題名:シロクローバのランナー及び培養細胞の長期保存、
他殖性牧草の遺伝資源の超低温保存技術の確立
- 予算区分:育種強化、特研(植物保存)
- 研究期間:昭和60年~平成元年、昭和63年~平成2年
- 発表論文等:Proc. of the 6th Internatl. Congr. of SABRAO, 147-150. Plant Science(印刷中)