炭酸ガス誘引のアブ防除用トラップ

要約

  • 担当:東北農業試験場・畜産部・家畜虫害研究室
  • 部会名: 畜産 分科会名:
  •  分類: (1)

成果の内容・特徴

  • 技術・情報の内容及び特徴
      1. トラップ(東北農試式)本体は、捕集効率に優れた蚊帳型で、天井はV字型透明板、上半分を被う周囲の側壁は
         上方が透明板、下方が黒色板で、両側内部に捕虫用の三角トレー(洗剤を入れた水盤)を備え、中央にはアブ
         誘引用の黒色箱を吊り下げた構造をしている(図1)。
      2. 照度、温度、降雨センサによってCO2ガスを自動放散させる機器 (ソーラー・バッテリー使用)を開発した。これに
         より、30kgボンベで20~30日間、人手を介さずにトラップを作動させることが可能となった。
      3. 東北農試式では炭酸ガス誘引蚊帳トラップの1.76倍(岩手大学御明神牧場)、丹後畜試改変式トラップの5.47倍
         (岩手県畜試外山分場)のアブ類が捕獲された (図2、表1)。
      4. 東北農試式トラップは、柱を高くし両側を全面被って家畜の通過を可能にすれば、 Walk-Throughトラップ(Hall
         and Doisy, 1989)として、畜体に寄生するハエ類の防除にも応用可能である。
  • 技術・情報の適用効果
    家畜や人を襲うアブ類を、出現状況に合わせて省力・経済的に、長期間にわたって捕獲することができる。
  • 適用の範囲
    アブ類の多発地域。山間地でも利用可能。
  • 普及指導上の留意点
      1. 職務発明として、「虻捕集装置」および「虻等の吸血性昆虫類捕集用の炭酸ガス放散装置」の二点を、実用新案
         申請中(富士平工業株式会社と共同)。
      2. 平成2年4月より市販開始
      3. 防除の有効範囲、次世代への発生抑圧効果などについて、今後検討が必要。

具体的データ

図1 東北農試式トラップの構造

図2 アブ捕獲数の時期的推移

表1 CO2蚊帳トラップとの比較

その他

  • 研究課題名:炭酸ガス誘引のアブ防除用トラップの開発
  • 予算区分 :経常(場特研)
  • 研究期間 :平成元年度
  • 発表論文等:衛生動物41巻4号. 畜産の研究44巻7号.