黒ボク土から分離したVA菌根菌

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要約

  • 担当:東北農業試験場・地域基盤研究部・低温ストレス
  • 部会名:総合農業
  • 分科会名:生産環境
  • 分類:(3)

成果の内容・特徴

  • 技術・情報の内容及び特徴
      1. 畑作物の根に共生しているVA菌根菌は、土壌中の希薄なりん酸などを効率よく吸収し、 作物へ供給する機能が
         ある。本菌を有効に活用することができれば、りん酸等の 資源の効率的利用が可能になると期待されている。し
         かしながら、わが国では 系統だった菌株の収集は行なわれておらず、このことが有用菌株の選抜等VA菌根菌
         の利活用を進めていく上で障害となっていた。そこで、りん酸肥沃度の低い黒ボク土から VA菌根菌菌株の収集
         を行なった。
      2. 各地の黒ボク土壌より16種類のVA菌根菌胞子を分離し、その形態的特徴から10種を 同定することができた。
         VA菌根菌は宿主との共生条件下でしか増殖しないため、 各種作物を宿主として菌の増殖を図り、11種の増
         殖に成功した(表1)。
      3. VA菌根菌は宿主特異性を欠いていると言われているが、作付されている作物の違いに よって分離される菌の
         種類に違いが認められ、圃場条件下での宿主特異性が 認められた(表2)。また、菌の種類によって作物に 対する
         生育増進効果に違いが認められた(図1)。
  • 技術・情報の適用効果
    増殖に成功したVA菌根菌菌株は、今後VA菌根に関する各種の試験研究に 供試することができる。
  • 適用の範囲
    全国
  • 普及指導上の留意点
    VA菌根菌菌株の長期保存法は確立されていない。菌株保存のためには、菌を植物へ 感染させることによって増殖を図らなければならない。

具体的データ

表1 分離されたVA菌根菌の特徴

表2 作付けの異なる圃場から分離したVA菌根菌の相対的数量

図1 白クローバに対するVA菌根菌の接種効果

その他

  • 研究課題名:植物-微生物系における情報認識・伝達機構の解明
                                  -VA菌根菌の宿主特異性-
  • 予算区分 :大型別枠
  • 研究期間 :昭和63年~平成2年
  • 発表論文等:土壌微生物研究会誌「土と微生物」38号(印刷中)、
                      平成3年度土肥学会講演要旨集 p.31