品質から見たリンゴ「ふじ」の栽培適地図作成手法

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要約

  • 担当:東北農業試験場・企画連絡室・総研3チーム
  • 部会名:総合農業
  • 分科会名:生産環境
  • 分類:(3)

成果の内容・特徴

  • 技術・情報の内容及び特徴
    岩手県紫波町をプロトタイプモデルとして、品質を重視した生食用リンゴ(M.26台ふじ)の栽培適地図 を作成する手法を開発した。すなわち
      1. リンゴの品質指標としてのみつ発生指数、糖度は表層土性、土壌母材、 西日の受光割合、斜面の角度と密接な
         関係(みつ発生指数r=0.83、図2、糖度r=0.73)がある(図2)。
      2. これらを元にした立地要因による評価式は次のようである。
         総合評価=(土壌評点+地質母材評点+斜面方位評点)×標高評点×傾斜角度評点
      3. これらを用い、細密土地条件メッシュデータベース(約100m×100m単位)を使って、 総合評点を計算し、5段階に
         ランキングしてリンゴ栽培適地図を作成した。この適地図は 現地の実態とよく適合しており、以上の手法が適地
         図作成手法として成立することを 認めた(表1)。
  • 技術・情報の適用効果
      1. システムではパソコンのマウスを使って各メッシュ毎の評点内容をプリンタに出力 できるので、評価点が低いメッ
         シュについては、どの要因に改良すれば適性が 高まるかがわかり、土壌改良や栽培管理指針策定に役立つ。
      2. 多数の作物について、このような適地図を作り、これを重ねてメッシュ毎に その特徴を明らかにすれば、その
         地域の長所を最大限に生かせる作物や輪作体系を 面的広がりとして把握できる。
  • 適用の範囲
    北東北地域
  • 普及指導上の留意点
    他の地域でこの手法を利用する場合には、品質の評価指標、品質に関与する 生産環境要因の種類、カテゴリー化、評点などを検討する必要がある。 現地調査によって適地図の妥当性をチェックし、図1のフィートバックループを 何回もまわして、その地域に最適のパラメータを決定する必要がある。

具体的データ

図1 品質からみたリンゴの栽培適地図の作成手順模式図

図2 みつ発生指数と栽培立地条件との関係の数量化理論I類による解析結果

表1 環境要因別の評点数

その他

  • 研究課題名:品質を尺度とした米、リンゴの栽培立地条件評価手法の開発
  • 予算区分 :科学技術庁振興調整費
  • 研究期間 :平成2年
  • 発表論文等:品質を尺度としたリンゴの栽培適地図の作成、
                      東北地理学会春季大会(1991年5月)