コンニャクに発生するサトイモモザイクウイルス(DMV)の1系統

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

  • 担当:東北農業試験場・地域基盤研究部・病害生態研究室
  • 部会名:総合農業
  • 分科会名:生産環境
  • 分類:(2)

成果の内容・特徴

  • 技術・情報の内容及び特徴
      1. コンニャクのモザイク病葉粗汁液をChenopodium amaranticolorに接種し 形成された局部病斑から、新たな病原
         ウイルス系統(長さ750nmのひも状粒子)を分離した。
      2. 本ウイルスは、8種の植物に全身感染、12種に局部感染し、アブラムシで非永続伝搬 され、コンニャクにおいて
         種球伝染する。また、本ウイルスに対して作製した 抗血清はDMVとも反応したが、外被蛋白の電気泳動度は相互に異なった。 以上の結果から、本ウイルスはDMVの1系統と考えられる(表1)。
      3.  本ウイルスをウイルスフリーコンニャク幼苗に汁液接種した結果、いずれの株も 脈間の退緑等の病徴が現わ
          れ、生育・収量が減少する(表2)。
      4. 本抗血清は512倍の力価を示し、本抗血清を用いて福島県下のコンニャクを調べた 結果、ほぼ全株から本ウイ
         ルスが検出される。
  • 技術・情報の適用効果
    本ウイルスの検定植物を多数発見したことにより、化学的・物理的手法により作出 された弱毒株を検出できる。また、血清学的診断手法によるウイルスフリーコンニャク 種苗の検定・生産が可能である。
  • 適用の範囲
    コンニャク種苗生産地及び栽培地
  • 普及指導上の留意点
    コンニャクに発生するウイルスとして、DMV、キュウリモザイクウイルス、 コンニャクモザイクウイルスが報告されているが、病徴観察による本ウイルスとの 識別は困難であり、血清学的手法による診断が不可欠である。また、本ウイルスと DMV等とのウイルス学的関係及び分布についてはさらに検討が必要である。

具体的データ

表1 汁液接種試験結果

表2 コンニャクの生育・収量に及ぼす影響

その他

  • 研究課題名:栄養繁殖性作物の病原ウイルス系統の探索
  • 予算区分 :地域バイテク
  • 研究期間 :昭和61年~平成2年
  • 発表論文等:北日本病虫研報