心土破砕ロータリシーダ

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要約

  • 担当:東北農業試験場・生産工学部・生産施設研究室
  • 部会名:総合農業
  • 分科会名:作業技術
  • 分類:(3)

成果の内容・特徴

  • 技術・情報の内容及び特徴
    転換畑において畑作物の生育を良好に行わせるには土壌通気性と排水性を向上 させることが極めて重要である。一方、復元田においては漏水防止、トラクタ・ 田植機等の安定走行のために耕盤の早期形成が必要である。そこで、田畑輪換による 水田の高度利用を図るためには適切な耕盤の管理技術が要望されている。ここでは 水田復元時の耕盤形成を容易にするために、火山灰土壌の転換畑において耕盤を 部分破壊し、二段施肥方式により作物の安定多収を図るとともに、耕うん・施肥・ 播種作業の同時化による作業能率向上を目的とした心土破砕ロータリシーダを 試作した(表1、図1)。
      1. 心土破砕部はPTO軸駆動による前後振動式で、破砕爪は2本装着され、施工深20~25cm で、播種位置直下の
         土壌を膨軟にする(図2)。
      2. 施肥部は2種類の化成肥料を施用することが可能で、基肥は表層に、緩効性肥料は 心土破砕爪底部の深さ約
         20~25cmの位置に施用される。繰り出しロールはトラクタの バッテリを電源とするDCモータにより駆動される。
      3. 播種部は回転目皿式播種機が2台装着されている。
  • 技術・情報の適用効果
      1. 試作機により、深耕ロータリを施用した耕盤全面破壊方式に比べ、少ない投入エネルギ と作業時間で耕盤の部
         分破壊が可能であり、収量は耕盤維持区よりも増大する(表2)。また、耕盤の部分破壊の効果は3年後でも 維持されている(図3)。
      2. 水田に復元した場合、耕盤を全面破壊した圃場では代かき用水量が増大し、トラクタ・ 田植機等が沈下して、作
         業性が低下するが、試作機を使用して部分破壊した圃場では 耕盤維持区と同等の作業性能が得られる(表2)。
  • 適用の範囲
    火山灰土壌の転換畑で有効な手段である。
  • 普及指導上の留意点
    試作機の所要動力は約30PSで、同作業幅のロータリシーダに比べて約50% 増大するため、装着するトラクタの機関出力に留意する必要がある。

具体的データ

表1 主要諸元

図1 心土破砕ロータリシーダの概略図

図2 耕うん断面

表2 作業性能および大豆収量

図3 土壌硬度の経年変化

その他

  • 研究課題名:火山灰土汎用水田における耕盤管理技術の確立
  • 予算区分 :水田畑作
  • 研究期間 :昭和62~平成元年
  • 発表論文等:農業機械学会東北支部報 No.37