ダイズ黒根腐病抵抗性検定法

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

  • 担当:東北農試 成分育種法研・病害生態研
  • 部会名:地域水田農業
  • 分科会名:
  • 分類:(3)

成果の内容・特徴

  • 技術・情報の内容及び特徴
    ダイズ黒根腐病抵抗性遺伝資源の探索と抵抗性素材化並びに抵抗性新品種育成の ための効率的抵抗性検定法を確立した。
      1. 接種源及び接種法:Czapek-Dox液体培地を加え減菌したバーミキュライト(120:200V/V) で病原菌を1.5ヶ月以上
         培養すると病原性が安定し、土壌への分散も優れるので、 土壌に重量比3%加えれば確実に感染する。
      2. 簡易検定法:市販の透明ディスポカップ(500ミリリットル)に人口接種した土壌を詰め、 検定材料を栽植し生育中
         に発病度を調査する方法は、播種70日後に根及び地上部の 発病度を同時に観察・検定でき、個体別に種子を
         得られる(表1)。
      3. 圃場検定法の改良:規格5号のペーパーポットに人口接種土壌を詰め播種し、土壌水分を 高めるために水深
         1cm程度のプールのなかで3週間程育苗した苗を、散播した小麦の 収穫後の圃場に不耕起条件で移植すると、
         生育後期の地上部の発病が安定的に高まり 圃場抵抗性の品種間差を評価できる(表2)。
      4. 抵抗性育種素材の検出:ディスポカップ接種法等により一次選抜した抵抗性有望系統を 上記の圃場検定法で
         評価した所、YR-82、早銀1号、タマムスメ、Baegcheon、Tracy、 赤葵(長野)等の品種が圃場抵抗性強と判定
         された(表3)。
  • 技術・情報の適用効果
    本病に対する抵抗性育種は発病度が圃場及びポットともに安定しないために、 選抜効果が低かった。上記の手法が開発または改善されたことによって、雑種初期世代 は簡易検定法を用いて検定した後に採種し、中期世代以降は圃場抵抗性検定を組み込んで 抵抗性系統の育成を進めることが可能となったことから、育種効率の一段の進歩が 期待される。
  • 適用の範囲
    ダイズ黒根腐病抵抗性育種研究
  • 普及指導上の留意点
    小麦跡の不耕起栽培が本病の発病を促進させたが、病原菌無接種条件下での発生との 関連性は直接的には実証されていないので、注意が必要である。

具体的データ

表1 ディスポカップ検定法による検定結果

表2 ペーパーポット接種・移植法と従来の圃場検定のダイズ黒根腐病の発病に及ぼす影響

表3 ダイズ黒根腐病抵抗性有望系統の圃場抵抗性検定試験

その他

  • 研究課題名:ダイズ黒根腐病抵抗性遺伝子源の探索と育種材料並びに抵抗性新品種の育成
  • 予算区分 :水田畑作
  • 研究期間 :昭和62年~平成2年
  • 発表論文等:平成3年度日本植物病理学会大会