はとむぎ新品種「はとむすめ」

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要約

  • 担当:東北農業試験場作物開発部資源作物育種研究室
  • 部会名:畑作物
  • 分科会名:夏作物
  • 分類:(1)

成果の内容・特徴

  • 技術・情報の内容及び特徴
    「はとむすめ」は「岡山在来」の早生・短稈・離脱粒化を目標に昭和55年に 農業技術研究所放射線育種場に依頼して、「岡山在来」の種子にγ線20kRを 照射し、以後東北農業試験場において選抜・固定を進めてきたものである。 平成4年度より大分県で栽培が奨励される。
     1.本品種は「岡山在来」に比べ、成熟期が約2~3週間早い中生種で、草丈が約50cm 低い。茎数やや多く、稈径がやや細いが、倒伏も少なく、葉枯れ病の発病程度も 「岡山在来」並かやや少ない。うるち粒率は低い。百粒重がやや軽いが、子実歩留 はやや高い。殻実収量は普及の見込まれる大分県で「岡山在来」より多収である。
     2.脂質含量、脂肪酸組成、蛋白含量、灰分含量は「岡山在来」とほぼ同じであり、品質 は類似している、平成4年7月はとむぎ農林1号として農林登録された(表1)。
  • 技術・情報の適用効果
    これまでの栽培品種「岡山在来」は草丈が高く、追肥や防除などの栽培管理、 収穫が容易ではなかった。新品種「はとむすめ」は約2~3週間早生で草丈は 低く、栽培管理や収穫作業が「岡山在来」より容易になることから、はとむぎ 栽培振興に寄与すると期待される。
  • 適用の範囲
    東北南部の平坦地、関東以西の温暖地、暖地
  • 普及指導上の留意点
     1.脱粒性は在来種並であるので収穫時期に注意し、刈り遅れないこと。
     2.栽培管理は「岡山在来」に準ずる。
     3.晩植の収量は他の品種と同様低収となるので適期播種、移植に努める。
     4.暖地の乾田直播栽培では、夏期の高温、乾燥により上位葉の先端や殻実が枯死、 白化することがあるので留意する。
     5.はとむぎは他花受精し易く、ジュズダマ、はとむぎの他品種とも容易に交雑する。 品種の特性を維持するために、採種栽培においては、ジュズダマ、他のはとむぎ品種 から隔離して栽培する。

具体的データ

表 「はとむすめ」

その他

  • 研究課題名:はとむぎ新品種の育成
  • 予算区分 :転換畑作、水田畑作、経常
  • 研究期間 :昭和58年~平成3年
  • 発表論文等:関 寛三、寒冷地におけるハトムギ多収栽培技術(1987);
                      農業技術42(9)、385~388
                      関 寛三、寒冷地ハトムギの栽培法試験 1. 適品種の選定(1984);
                      東北農業研究 35、93-94