イネカラバエに対する品種抵抗性の幼苗検定法
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要約
- 担当:東北農業試験場水田利用部水田虫害研究室
- 部会名:生産環境
- 分科会名:
- 分類:(3)
成果の内容・特徴
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技術・情報の内容及び特徴
幼苗検定法の手順を図1に示した。2化地帯産
イネカラバエは卵期を長日(15L:9D)、幼虫期を短日(12L:12D)とすることによって
、約20日(20度C~25度C)で蛹化する。幼苗検定法は光周期によって発育を促進し
、幼虫期の死亡の品種間差異を短期間に調査する方法である。
1.幼苗検定法による検定結果は自然発生条件下の傷葉-傷穂率を調査する品種抵抗性
の検定結果と高い相関を示し(図2)、品種固有
の抵抗性はイネの生育時期によって変動しないと考えられる。
2.図3に幼苗検定法による検定結果を示す。
幼苗検定法による食入率には品種間差異は認められず、抵抗性品種においても高い
食入率を示す。幼虫の生存率には顕著な品種間差異がみられ、品種固有の抵抗性
(幼虫期の死亡:抗生作用)を反映する。短日条件下における飼育によって生存虫
のほとんどが蛹化し、食入操作28日後の調査だけで品種抵抗性の検定が可能である。
- 技術・情報の適用効果
イネカラバエに対する品種抵抗性の検定は従来、圃場に栽培したイネの被害によって
行われてきたため、少発生年あるいは産卵数の品種間差異の影響により不安定であっ
た。また、2化地帯虫は自然条件下での幼虫期間が50日以上と長く、その発育のため
にはイネの幼穂の摂食が不可欠と考えられていた。しかし、幼虫発育を促進する
光周期を利用した幼苗検定法はこの検定期間を著しく短縮する。また、継代飼育法
との組合せによって周年検定をも可能とした。これらの技術はイネカラバエに
対する抵抗性品種育成の効率化に役立つものである。
- 適用の範囲
北海道および東北地域等の2化地帯虫の分布地域では地域個体群の利用が可能である。
またその他の3化地帯虫の分布地域では2化地帯虫の継代飼育によって利用できる。
- 普及指導上の留意点
イネの生育時期をそろえて検定する必要がある。イネカラバエの継代飼育法との
組合せによって周年検定が可能となる。3化地帯虫は2化地帯虫と光周反応が
異なり、卵期が長日の場合には中間日長で発育が抑制される。ふ化幼虫の食入操作
は湯嶋・富沢(1957)に詳しい。
具体的データ



その他
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研究課題名:超多収稲におけるイネカラバエの発生生態
- 予算区分 :昭和57年~63年、超多収、平成元年~3年、経常
- 研究期間 :昭和57年~平成3年
- 発表論文等:超多収稲におけるイネカラバエ耐虫性検定と温室内幼苗検定法の試み. 武田光能・鈴木忠夫(1985).
北日本病害虫研究会報 36:10-13