HMG投与による肉用牛(日本短角種)の誘起多胎技術

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

  • 担当:東北農業試験場畜産部家畜繁殖研究室
  • 部会名:畜産
  • 分科会名:家畜
  • 分類:(2)

成果の内容・特徴

  • 技術・情報の内容及び特徴
    1.HMG投与量の増加に伴い、発情時の発育卵胞数と黄体形成数が多くなり、 HMG100IU1回投与及び150IU1回投与で安定した双子生産に適した2個排卵 の確率が高くなった(表1)。
    2.HMG100IUとPGF2α(HMG投与後24時間)による野外試験の結果、 2個排卵の割合は23頭中15頭(65%)であり、3個以上の排卵がみられた牛は 少なかった(図1)。
    3.HMG100IU投与とまき牛繁殖を組み合わせた上記の野外試験の受胎成績では、 超音波診断装置による妊娠鑑定で平均胎子数1.6頭が得られたが、実際の 双子分娩頭数は18頭中5頭に減少した(表2)。
  • 技術・情報の適用効果
    誘起多胎技術では、妊娠途中での流死産が起こり易くなる三子以上の多胎 妊娠を回避することが重要になる。この点、従来用いられてきたPMSGに比べて、 HMGの低単位投与(100IU)によって安定した双子生産に適した2個排卵の高い 確率が得られる。ただし、子付き授乳牛では卵巣反応が若干劣るようであり、 HMG投与量を150IUに増やす必要があると考えられる。
  • 適用の範囲
    東北地域の日本短角種飼養地帯
  • 普及指導上の留意点
    まき牛繁殖と組み合わせて誘起多胎を行なう場合、8頭程度の群を同時に 処置しても受胎率に影響はないが、野外試験でみられたように広い牧区では 受胎率が低下するので留意する。また、双胎妊娠牛では特に放牧期の栄養 管理に注意する。HMG:ヒト閉経期性腺刺激ホルモン

具体的データ

表1 HMG投与量と卵巣反応の関係

図1 野外試験における黄体形成の状況

表2 HMG100IU投与による野外試験成績

その他

  • 研究課題名:HMGによる肉用牛の誘起多胎作出技術の開発
  • 予算区分 :経常、場特定
  • 研究期間 :平成元年~平成3年
  • 発表論文等:第78回家畜繁殖学会(1990.10)、平成2年度東北農業試験場年報