牛体寄生ブユ類成虫におけるオンコセルカ幼虫の自然感染

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要約

  • 担当:東北農業試験場・畜産部・家畜虫害研究室
  • 部会名:畜産
  • 分科会名:家畜
  • 分類:(3)

成果の内容・特徴

  • 技術・情報の内容及び特徴
    オンコセルカ幼虫の自然感染が九州地域以外では初めて記録され、また、アオ キツメトゲブユを除く他の3種のブユからも、今回初めてその自然感染が認められた。
     1. 東北北部の放牧地において、ブユ類成虫は6月~11月にかけて、合計13種が 捕獲された。最優位種はダイセンヤマブユ(全体の35.7%)、次いでアオキツメトゲ ブユ(30.7%)、キアシオオブユ(13.9%)、ツメトゲブユ(8.9%)の順であった(表1)。
     2. 捕獲数が6月~8月に比較的多かったアオキツメトゲブユ、ダイセンヤマブユ、ツメ トゲブユ、アシマダラブユ2900固体を解剖し、各々0.8%(6/767)、4.5%(47/1052)、 0.5%(4/741)、0.9%(3/340)にフィラリア幼虫の感染を認めた(表2)。
     3. アオキツメトゲブユとダイセンヤマブユから得られた第3期幼虫(Type A)は、 九州のブユ類から得られている牛寄生の Onchocerca sp. と、また、 ダイセンヤマブユから得られた別の第3期幼虫(Type B)は O. lienalis と同種と判断された(図1)。
  • 技術・情報の適用効果
    今回の調査で、本州においてもブユ類成虫がオンコセルカ幼虫に感染 していることが明らかになった。上記のブユ類は牛吸血嗜好性が強いこと から、牛オンコセルカの有力な媒介者である可能性が高い。
  • 適用の範囲:国内全域
  • 普及指導上の留意点
    牛体でのミクロフィラリアの検出、動物寄生性オンコセルカの人への感染性 について検討する必要がある。

具体的データ

表1 牛体スイーピング法によるブユ類の捕獲個体数

表2 牛体から捕獲されたブユ類のフィラリア幼虫自然感染個体数

図1 ブユ類成虫から獲られたフィラリア幼虫

その他

  • 研究課題名:小型吸血昆虫類の家畜に対する加害生態と疾病伝播能
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成2~7年
  • 発表論文等:J. Trop. Med. Hyg.、20(1):1-9(1992).