集会施設整備が農村の生産・生活に及ぼす効果の分析

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要約

集会施設整備の農村の生産・生活に及ぼす効果を地域住民を調査対象としTN法により効果項目を把握し、DEMATel法により分析した結果、地域集団活性化効果のなかの「活動拠点の形成」項目の評価が大きいことを解明した。

  • 担当:東北農業試験場・農村計画部・地域社会研究室
  • 連絡先:0196-41-2145
  • 部会名:経営
  • 専門:農村計画
  • 対象:
  • 分類:行政

背景・ねらい

過疎化が進行している東北地域の中山間地帯の農村の活性化を実現するためには、生産基盤の整備だけでなく生活基盤の整備も不可欠である。農村地域における生産・生活基盤の整備を計画的に進めて行くためには、それらの整備が農村の生産・生活に及ぼす多面的な効果を的確に把握する必要がある。特に、地域住民の認識する整備の効果を把握し、それを分析する必要がある。

成果の内容・特徴

  • 集会施設の整備は、広域的なものの整備に重点が置かれてきていることから、T市A地区(旧村範囲)の地域活動の拠点として整備された地区センターの整備効果を 把握するため、集会施設の利用者(男性10人、女性12人)を対象としてTN法第1ステップにより地区センターの整備の効果項目(77項目)を抽出した。
  • 抽出した影響項目を検討、整理し、それを基に効果の有無と効果の大きさ及び効果項目間の関連とその強さを数量的に把握するためのDEMATel法による調査票を作成し、調査票に基づいて地域住民の代表者(区長10人(男)、婦人会員4人)14人を対象として調査を行った。
  • 個々の項目ごとに直接的効果の有無と効果の程度を見ると、行政面、生活改善面、連帯醸成面、地域集団面等の順に効果が高いことがわかった。さらに、行政的効果の なかでは、行政との連帯、広報活動強化に対する評価が高い。生活改善効果のなかでは、健康の増進、環境整備にたいしての評価が高い(表1)。
  • 次に、一つは、ある項目が他の項目に与える影響の大きさを影響度によって、一つは、他の項目との間の関連の大きさを関連度によって把握し、各項目間の 影響の方向性とその大きさについて把握した。影響度の最も大きい項目は12の「活動拠点の形成」で関連度の大きい項目は、14の「集会促進」であることが明らかとなった(表2)。

成果の活用面・留意点

DEMATel法による調査を行うことにより地域住民の意向を反映させた施設整備の効果についての評価の測定が出来る。しかし、一対比較調査に基づくDEMATel法は、比較する項目数が多くなるにしたがって調査の時間がながびき、調査対象者に負担をかけることがある。

具体的データ

表1 地区センター整備効果に関する回答結果

表2 各整備効果の特性

その他

  • 研究課題名:中山間地農村の生活施設の整備が生産・生活環境に及ぼす影響分析法の開発(過疎地域-集会施設)
  • 予算区分 :特研(施設整備評価)
  • 研究期間 :平成4年(平成3年~4年)
  • 発表論文等:安中誠司・門間敏幸・神谷一夫:DEMATel法による広域集会施設の整備効果の分析、
                      東北農試研報、86、43-62、1993