水田の自動水管理装置
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要約
自動水管理装置は水稲の生育状況と気象の推移に基づいて最適水深を予報し、それに基づいて水管理を行ったり、通常の水管理を行う目的で開発した。低温時の深水管理ができることから、特に冷害の発生し易い地帯での利用がより効果的である。水田の水深を常時監視する機能を有しているので、水管理の労力の削減ができる。
- 担当:東北農業試験場 地域基盤研究部 気象特性研究室
- 連絡先:0196-41-2145
- 部会名:やませ環境
- 専門:農業気象
- 対象:稲類
- 分類:普及
背景・ねらい
水稲の生育状況と気象の推移に基づいた毎日の水管理は管理者によって大きな負担となる。特に気象変動の激しい年の水管理や標高の高い水田の水管理は技術的にも困難さを伴う。この思考・行動パターンをコンピュータと機械に代替させられるエキスパートな水管理装置の開発が目標である。
成果の内容・特徴
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水田の的確な予報的水管理が自動的にできるようになった。天気予報等を利用すると、本装置は翌日や当日の最適水位を事前に推論し、その水位に制御すると共に
常時水位を監視・モニター表示をする(図1参照)。
- 水管理装置はパソコン、水位制御器、水位センサ、給排水用ポンプで構成され、パソコンには微気象モデルを含む水管理エキスパートシステムが構築されている。
水管理エキスパートシステムが予想どおりに機能することは3年間の圃場試験で確認しており、水管理装置の機能と生育等への効果の確認は平成4年に雫石の水田で行い、良好な結果を得た(図2参照)。
- 本装置のパソコン、水位制御器、センサを各々離すことができることから、遠隔操作が可能である。給排水ポンプは水位制御器から電気が供給され、稼動するシステムになっている。
成果の活用面・留意点
冷害の発生し易い水田や標高の高い水田の水管理や大型水田の水管理等に活用できる。留意点としては潅漑水温や葉面積指数等の測定値があれば、さらに予報精度が向上する。現在、エキスパートシステムに構築されている作物生育・水管理情報は東北六県と茨城県である。
具体的データ


その他
- 研究課題名:微気象モデルに基づく水田水管理エキスパートシステムの開発
- 予算区分 :経常、一般別枠(情報処理)
- 研究期間 :平成4年度(平成元~4年度)
- 発表論文等:水稲群落の微気象予測モデルとその応用(1998)、システム農学、Vol.2、No.2、10~20