ソルガムサイレージの発酵品質と飼料価値

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

ソルガム各品種のサイレージを調製し、発酵品質と飼料価値を明らかにした。ソルガム類は飼料成分や飼料価値の品種格差が大きいが、いずれの品種も東北地域では、9月以降に収穫すれば、安定した品質のサイレージが調製できる。

  • 担当:東北農業試験場・草地部・飼料調製研究室
  • 連絡先:0196-41-2145
  • 部会名:畜産(草地)
  • 専門:動物栄養
  • 対象:
  • 分類:指導

背景・ねらい

東北地域における長大飼料作物の基幹は、サイレージ用トウモロコシであるが、転作田への作付や高収量飼料作物としてソルガム類の導入が注目されており、地域内での栽培面積も拡大しつつある。しかしながら、ソルガムは生育特性に品種格差が大きく、地域環境や利用目的に適した品種の選定、サイレージの調製、利用についての検討はあまりなされていない。本研究では、ソルガムサイレージの調製貯蔵方法を発酵品質及び飼料価値の点から明らかにした。

成果の内容・特徴

  • ソルガムサイレージの飼料成分組成は、品種間において、粗蛋白質、粗脂肪含量の差は小さく、繊維:非繊維成分の割合に大きな違いが認められる。繊維含量の高いものは、乾物収量が高く、非繊維成分であるでんぷんや糖含量が高いものは、家畜の嗜好性が高い特徴がある。飼料成分組成の観点から品種を分類すると、(1)子実型:でんぷん含量の高いタイプ(例:HGR-II、スズホ、P988、SS-H)。(2)糖蓄積型:茎部に単少糖類を蓄積するタイプ(例:FS304、Waconia、シュガーグレイズ)。(3)繊維型:乾物中の繊維成分の割合が高いタイプ(例:SCS405、SCS507、P931、FS902)に分けられる(表1)。
  • 東北地域において、刈取時期を9月以降とし、トウモロコシに準じた調製方法であれば、いずれの品種においても、ソルガムサイレージの発酵品質はトウモロコシに劣らず良好である(表2)。
  • ソルガムサイレージの可消化養分総量(TDN含量)は48-57%の範囲であり、黄熟期刈のトウモロコシサイレージに比較して5-17%程度低い。また、トウモロコシに比べ可消化有機物中に占める可消化繊維成分の割合が高い(図1)。

成果の活用面・留意点

トウモロコシに比較して晩播が可能でかつ多収性があるソルガム類を、現行のトウモロコシの収穫・調製体系導入することが可能となる。ソルガム類は、牧草類に比べサイレージ調製は容易であるが、(1)適期刈取、(2)細切、(3)密封の基本は厳守すること。また、トウモロコシサイレージと同様に、開封後の好気的変敗にも留意する。

具体的データ

表1 品種別ソルガムの乾物収量、サイレージの飼料成分組成および成分組成による分類

表2 刈取時期の異なるソルガムサイレージの発酵品質

図1 トウモロコシ及びソルガムサイレージの可消化有機物及びTDN含量

その他

  • 研究課題名:新草種等の流通向け調製・貯蔵技術の開発
  • 予算区分 :水田畑作
  • 研究期間 :昭和62年~平成2年
  • 研究担当者:大下友子・名久井 忠・久馬 忠・近藤恒夫・柾木茂彦
  • 発表論文等:東北地域で栽培されたソルガムサイレージの飼料特性 第82回畜学会大会
                      要旨 1989
                      新草種等の流通向け調製・貯蔵技術の開発 農林水産技術会議事務局
                      研究成果 275 1992